
ステーブルコインとトークン証券で金融インフラ整備が進展
今週のWeb3業界では、ステーブルコインとトークン化金融商品を既存の金融サービスへ組み込む動きが国内外で相次ぎました。Goldman Sachsや三菱UFJ銀行など21金融機関は、米ドル建てステーブルコインの発行を担う新会社の設立で合意し、国際的なデジタルマネー基盤の構築へ動き出しています。
国内では、三菱UFJアセットマネジメントなど4社が、短期国債で運用する国内籍のトークン化投資信託を設定し、実際のファンド運営を通じた検証を始めました。SBI VCトレードも、ステーキング報酬の受取方法に円建てステーブルコイン「JPYSC」を追加しています。
韓国では、2027年2月の改正電子証券法施行に合わせ、非上場株式や私募商品からトークン証券市場を段階的に立ち上げる政策方針が示されました。本記事では、2026年8月30日から9月5日までに発表されたWeb3業界の注目ニュース4件を振り返ります。

Goldman Sachs・三菱UFJ銀行など21金融機関、ステーブルコイン新会社を設立へ
Goldman Sachsや三菱UFJ銀行、Bank of America、Citi、UBSなど世界の金融機関21社は9月1日、ステーブルコイン事業を支える新会社を2026年後半に設立することで合意したと共同発表しました。米ドル建てステーブルコインを2027年前半に市場投入し、その後はユーロを優先しながら、ほかのG7通貨建てにも対象を広げる計画です。
新たなステーブルコインは、法人間取引を含むホールセール市場、機関投資家向け取引、個人向けサービスでの利用が想定されています。参加各社は銀行水準のコンプライアンスやガバナンス、国際的な顧客・流通網を組み合わせ、国際送金やデジタル資産決済に利用できる共通基盤を構築します。
この構想は、2025年10月に10行が始めたG7通貨建てデジタルマネーの共同検討を起点としています。参加機関が21社へ拡大し、新会社の設立時期と商品の投入時期が定められたことで、発行可能性を検討する段階から具体的な事業計画へ進みました。

三菱UFJアセットら、国内初のトークン化投資信託を実運用
三菱UFJアセットマネジメント、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ信託銀行、Progmatの4社は9月3日、国内籍のトークン化投資信託を使った実証実験を開始したと発表しました。実証用ファンドは8月31日に設定されており、三菱UFJアセットマネジメントの調査では国内初の事例です。
ファンドは残存期間3カ月以下の短期国債に投資する円建て商品で、三菱UFJアセットマネジメントが自己資金2億円を拠出しました。実証では外部投資家への募集や販売を行わず、基準価額の算定、追加設定・解約、収益分配、照合・報告など、ファンド設定後に継続して発生する業務を検証します。
投資信託の受益権は受益証券の券面に表示し、保有者と権利量を記録する原簿をAvalanche上で管理します。4社は今後、外部投資家への提供拡大に加え、ステーブルコインやトークン化預金との連携、担保利用、受益権と代金を同時に移転するDvPなどを段階的に検証する方針です。

SBI VCトレード、ステーキング報酬の受取方法にJPYSCを追加
SBI VCトレードは9月2日、暗号資産取引サービス「VCTRADE」で、ステーキング報酬の受取方法に円建てステーブルコイン「JPYSC」を追加したと発表しました。イーサリアムやソラナ、カルダノ、アバランチなど全16銘柄が対象です。
JPYSCを選択すると、利用者へ配分される報酬は受取日の午前7時時点におけるVCTRADE販売所価格で日本円に換算され、1円=1JPYSCとして口座に付与されます。暗号資産ごとに発生した報酬を共通の円相当額で管理でき、月末までに設定した受取方法が翌月の報酬へ反映されます。
JPYSCはSBIグループとStartale Groupが共同開発した信託型の円建てステーブルコインで、2026年6月に提供が始まりました。SBI VCトレードはJPYSCを貸し出して利用料を受け取るレンディングサービスも提供しており、ステーキングで得たJPYSCを口座内で引き続き運用できます。

韓国、2027年2月にトークン証券市場を始動
韓国金融委員会は9月4日、株式や債券、ファンドなどをトークン証券として発行・流通させるための政策方針を公表しました。改正電子証券法が施行される2027年2月4日から、機関投資家向けの私募商品や非上場株式を起点に対象を段階的に広げます。
第1段階では、私募MMFや私募社債、信託方式による非上場株式、公募型の小口化投資証券をトークン化します。その運用を通じて安定性や効率性、市場需要を検証した後、第2段階で公募証券へインフラを拡充し、第3段階ではステーブルコインなどを使ったオンチェーン決済の実現を目指します。
流通面では、小口化投資証券を多者間で売買する店頭取引所の整備を進め、事業者ごとに分かれていた取引を共通市場へ集約します。韓国預託決済院も本番用プラットフォームの開発を進めており、2027年1月までに市場参加者との接続試験と運用シナリオの検証を終える計画です。
デジタル資産を既存金融の仕組みへ組み込む動きが拡大
今週取り上げた4件からは、ステーブルコインとトークン証券を既存の金融業務へ組み込む取り組みが、発行構想、制度整備、実運用、利用機能の拡充という複数の段階で進んでいることが分かります。
21金融機関による構想は、ステーブルコインを国際送金やデジタル資産決済に利用する共通基盤の構築を目指しています。国内では、実際に設定した投資信託を通じて運用や権利管理の業務を検証し、韓国では非上場株式や私募商品から公募証券、オンチェーン決済へ進む制度上の工程が示されました。
SBI VCトレードでは、ステーキング報酬を円相当額のJPYSCで受け取れるようになり、利用者がステーブルコインを取得する経路が広がっています。金融機関による発行・運用基盤の構築と、個人向けサービスにおける利用機能の拡充が並行して進んだ一週間となりました。

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