
シティの加盟店決済にステーブルコインを接続
米金融大手シティグループ(Citi)と暗号資産取引所Coinbaseは9月28日、法人向け決済での協業を拡大すると発表しました。シティの決済サービス「Spring by Citi」を利用する企業が顧客からステーブルコインによる支払いを受け付けられるよう、Coinbaseの決済基盤を接続します。支払われたステーブルコインは法定通貨へ自動変換され、シティが取引銀行として加盟店に資金を精算する仕組みで、両社はまず米国で展開し、今後数カ月で機能を追加する方針です。
Spring by Citiは、ECや企業間取引の支払い受付から資金精算までを扱う既存のサービスで、シティは2023年に20カ国で利用可能になったと公表しています。今回、その加盟店向けサービスに新たな支払い手段が加わりますが、ステーブルコイン機能の展開は米国から始まります。購入者がデジタル資産を使っても加盟店は法定通貨で売上金を受け取れるため、従来の通貨による価格設定や資金管理を続けながら、ステーブルコインを保有する顧客からの支払いに対応できます。
企業の導入を考えると、支払いを受け付ける仕組みと同じくらい、受け取った資金を既存の業務へどう収めるかが重要です。ステーブルコインを直接管理するには、保管や換金に伴う業務を整える必要があります。シティが法定通貨での精算を担う今回の方式は、加盟店側のそうした負担を抑え、普段使う決済サービスの中で新たな支払い手段を扱えるようにするものです。
Shopify、Checkout.comから銀行の法人顧客へ
Coinbaseは2025年6月に商取引向け基盤「Coinbase Payments」を発表し、ShopifyでのUSDC決済に導入しました。2026年6月には決済事業者Checkout.comとの連携も公表しており、対象加盟店がUSDCやUSDTを受け付け、米ドルで精算する仕組みを示しています。顧客はステーブルコインで支払い、企業は法定通貨で売上金を受け取るという方式を、CoinbaseはすでにECプラットフォームや決済事業者を通じて広げてきました。
シティとの提携で変わるのは、その機能を届ける経路です。Coinbaseがステーブルコインの決済処理と変換を担当する一方、シティは加盟店との取引関係と銀行としての資金精算を担い、既存の法人決済サービスから企業に提供します。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、対象には大手多国籍企業も含まれます。銀行が加盟店側の窓口になることで、暗号資産の決済基盤が大企業の既存の決済業務にどう組み込まれるかが焦点になります。
両社の協業は2025年10月に発表され、当初は法定通貨とデジタル資産をつなぐ入出金経路や決済処理を検討していました。Spring by Citiへの接続は、その構想を企業が顧客から代金を受け取る場面へ進めるものです。資金移動を支える技術が、加盟店の販売や売上管理に関わるサービスとして具体化した点に、今回の進展があります。
銀行機能の提供先もCoinbaseの顧客へ広がる
提携には、シティの加盟店がステーブルコイン払いを受ける仕組みに加え、Coinbaseの決済顧客が法定通貨を取り込む仕組みも含まれます。Coinbaseは自社の「Coinbase Virtual Accounts」にシティの「Virtual Account Wallet」を採用し、顧客が銀行口座に近い機能で受け取った法定通貨をステーブルコインへ自動変換できるようにします。二つのサービスは利用する顧客と資金の流れが異なりますが、いずれも銀行取引とデジタル資産の決済をつなぐ役割を持ちます。
シティはこれまでも、預金をトークン化する「Citi Token Services」や24時間対応の米ドル決済を進めてきました。9月にはSwiftのブロックチェーン基盤上で他の金融機関と米ドル取引を処理したと発表しています。これらは銀行預金を動かす取り組みであり、外部のステーブルコインを受け付けるCoinbaseとの連携とは仕組みが異なります。そのうえで、シティが自社の銀行機能と外部の決済基盤をそれぞれ活用し、企業の資金移動に対応する経路を増やしていることが分かります。
法人向け決済として定着するかどうかは、支払いを受け付けられる企業の数に加え、返金や売上金との照合、不正取引への対応、法定通貨での精算時間といった日常業務に左右されます。Coinbase PaymentsはShopify向けに返金などの機能を備えていますが、シティの法人顧客が利用する決済画面や業務へどう組み込めるかは、今後の導入事例で見えてくるでしょう。Shopify、Checkout.comに続いて銀行の決済網にも接続したCoinbaseの基盤が、まず米国の企業でどのように使われるかが注目されます。
公式発表:Citi・Coinbase共同発表

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