WEB3業界動向

セキュリタイズ、韓国で証券トークン化の協業拡大 LG CNSと業務基盤を検討

サムネ


商品開発に続き、金融機関の運用基盤へ

米トークン化企業セキュリタイズは10月6日、韓国のITサービス企業LG CNSと、トークン化資産とデジタル資産インフラの開発に向けた戦略的提携を結んだと発表しました。両社は覚書(MOU)に基づき、韓国の金融機関向けに株式やファンドのトークン化、ステーブルコイン関連基盤などを共同で検討します。

協業は韓国の規制に適した商品・技術開発を軸に、韓国とアジア太平洋地域での市場開拓にも及びます。将来的には韓国市場と海外市場を接続し、トークン化証券やステーブルコインの流通・取引執行・決済を24時間365日支える仕組みも検討対象としています。具体化に当たっては、適用法令や必要な規制当局の承認、両社の社内審査が前提となります。

セキュリタイズは9月にも、KB証券、Optimism Foundationと韓国の機関投資家向けトークン化商品の開発で合意しています。証券会社との商品開発に、金融システムを手がけるLG CNSとの協業が加わったことで、韓国での取り組みは商品の組成・販売と、その運用を支える基盤整備の両面に広がっています。


KITLでトークン化と金融実務の接続を目指す

LG CNSが公開したブロックチェーン基盤「KITL(キトル)」は、電子ウォレット、取引処理、ブロックチェーン利用手数料の代理負担、取引履歴の収集を提供します。銀行や証券会社などが複数のデジタル資産やブロックチェーンに対応する際の共通基盤として設計され、収集した取引履歴は精算、会計処理、監査などへの活用を想定しています。

電子ウォレットには、韓国銀行のデジタル通貨実証「プロジェクト漢江」で利用した技術を、パブリックブロックチェーン向けに拡張して採用しています。元となる技術は、7銀行と約8万人の利用者が参加した実店舗での決済環境で検証されたといいます。この基盤を軸に、LG CNSはセキュリタイズと、金融機関のファンド・債券などを国内規制に沿ってトークン化するソリューションを共同開発する方針です。

両社の役割からは、証券の発行・保有記録を管理する技術と、金融機関が日々の業務で使うシステムを結び付ける狙いが読み取れます。LG CNSはCircle、Canton Foundation、Chainalysis、ChainlinkともMOUを結んでおり、決済や取引監視、ネットワーク接続を含む機能をKITLと組み合わせる構想です。


制度施行を前に、権利管理と既存システムの整合性が課題に

韓国でこうした準備が進む背景には、2027年2月4日に予定される改正電子証券法などの施行があります。韓国金融委員会(FSC)が9月4日に公表したロードマップでは、分散型台帳に記録するトークン証券を証券のデジタル形式として法的に位置付け、機関投資家向け私募MMF(マネーマーケットファンド)と債券、信託構造を通じた非上場株式、公募型の小口投資証券から段階的に展開する計画です。

続く段階では公募証券全般へ対象を広げ、最終的にステーブルコインと連動したオンチェーン決済基盤を目指します。対象拡大の時期は、初期段階の運用結果や技術導入、ステーブルコインの法制化の進展に応じて調整する方針で、まずは機関投資家向け商品の運用が、その後の展開を左右する位置付けです。

FSCは10月1日に関連する下位規則の改正案も公表しています。証券会社が分散型台帳へ接続する際には、韓国預託決済院(KSD)による審査と運用試験が予定されており、既存の証券口座や権利管理との整合性を確保する必要があります。LG CNSとの提携が注目されるのは、トークン化技術を、こうした金融制度と業務の要件に沿って実装することを目指しているためです。


国内の商品開発と海外流通で分かれる協業の軸

先行するKB証券との協業では、OP Mainnet上でトークン化MMFと、KB資産運用の代表的な運用戦略に基づくファンドを展開する計画です。KB証券が商品の組成・発行・販売を担い、セキュリタイズは最終的な商品設計に応じてトークン化基盤やファンドの事務管理、保有記録・移転の管理を担当します。株式や米国預託証券(ADR)、社債、韓国国債への拡大も、制度整備に合わせて検討しています。

一方、カカオペイ証券は韓国上場株式の海外流通に軸足を置いています。Ondo Financeが9月29日に発表した提携では、カカオペイ証券が外国人投資家向けのオムニバス口座を通じて裏付け株式を調達・保管・管理し、両社がトークンの発行・償還や残高照合を研究します。同証券はDinariとも韓国株のトークン化に関する概念実証で協業しており、国内の機関向け商品と海外投資家向けの流通経路で、異なる事業モデルの検討が進んでいます。


市場も反応、継続的に運用できる仕組みが次の焦点

提携発表後の市場では、セキュリタイズ株に買いが入りました。Cointelegraphによると、10月6日の米国市場の取引序盤に株価は一時約8%上昇し、12.60ドル前後となった後、上昇幅を縮めました。韓国市場への展開を巡る発表に反応した値動きとして報じられています。

今後の事業評価では、商品を発行した後の保有記録や資産移転を正確に管理し、精算・会計処理まで継続して運用できるかが重要になります。海外流通を目指す場合には、裏付け資産の保管や発行・償還の仕組みに、国内外の法令と投資家保護への対応を組み込む必要もあります。韓国で商品開発と流通経路の検討が進む中、セキュリタイズとLG CNSがこれらを支える業務基盤をどう具体化するかが、協業の次の注目点になります。


公式発表:セキュリタイズ、LG CNS

Web3セキュリタイズSecuritizeLGCNS韓国株株式トークン化KITL

このニュースをシェア

コメント

0件のコメント
コメントがありません。