
基本性能を改善、Siri刷新は約2年越し
Appleは9月14日(日本時間15日)、iPhone向けの最新OS「iOS 27」の提供を開始した。中核となるのは、Apple Intelligenceを基盤に会話や検索、アプリ操作を担う「Siri AI」で、英語のベータ版から提供され、日本語には10月に対応する予定だ。
iOS 27では「Liquid Glass」のコントラストや視認性を見直し、透明度と色の濃さを調整できるスライダーを追加した。システム基盤にも手が加えられ、Appleの測定ではアプリの起動が最大30%、写真ライブラリへの読み込みが最大70%、AirDropの転送が最大80%高速化する。実際の性能は機種や設定、利用環境によって異なるものの、Wi-Fiとモバイル回線の切り替えやメール検索も含め、日常的な操作を広く改善する内容となった。
こうした基礎機能の改良に対し、iOS 27の位置付けを大きく左右するのがSiriの刷新だ。Appleは2024年にApple Intelligenceを発表した際、ユーザーの個人的な文脈を理解し、画面上の情報を認識しながらアプリを操作するSiriを予告していたが、開発の遅れから提供を延期した。Apple幹部は2025年、初期版が同社の求める信頼性に達していなかったと説明している。
その後、Appleは2026年6月の世界開発者会議「WWDC26」で、延期していた機能を「Siri AI」として改めて発表した。iOS 27は新しい会話機能を加えた年次更新にとどまらず、同社が長年掲げてきた「個人を理解し、操作まで担うアシスタント」を実製品で示す節目となる。

会話型AIをiPhoneの操作へ統合
Siri AIはメール、メッセージ、写真などに保存された情報を手がかりにユーザーの文脈を把握し、自然な会話を通じて必要な情報を探し出す。その理解を回答だけで終わらせず、画面上の内容を認識して複数のアプリを操作できる点が従来のSiriとの大きな違いだ。専用のSiriアプリでは会話履歴を管理でき、iPhoneで始めた対話をiPadやMacなどで継続できる。
文脈を理解して操作につなげる仕組みは、iPhoneの各機能にも広がった。カメラには目の前の物について検索や質問ができる「Siriモード」が加わり、文章作成では下書きや推敲を支援する。写真アプリには構図を変える「空間リフレーム」や画像の外側を生成する「拡張」が導入され、Safariではタブの自動整理に加え、商品の価格変更や再入荷といったウェブページの更新を通知する。ショートカットも、実行したい内容を文章で伝えることで、複数のアプリを連携させた自動化を作成できるようになった。
これらの機能からは、独立したチャットサービスを設けるより、AIをiPhoneの画面やアプリ操作へ深く組み込もうとするAppleの方向性が読み取れる。ロイターによると、一部のAIモデルにはGoogleのGemini技術が使われる一方、個人情報に関わる処理には端末内処理と「Private Cloud Compute」を組み合わせる。画面やアプリ内の情報を参照するほど利便性は高まるが、それに伴うデータ処理への理解を利用者から得られるかも重要な論点になる。

AI競争で問われる実用性と提供範囲
AppleがSiriの再構築を急ぐ背景には、会話型AIを巡る競争の激化がある。OpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeは、質問への回答から複数手順の実行へと機能を広げてきた。慎重な開発姿勢を取ってきたAppleは、その間にSiriと競合サービスとの差を広げられたとの指摘も受けている。6月のSiri AI発表当日にはApple株が1.9%下落し、アナリストからはSiriを有力な会話型AIへ近づける可能性を評価しつつ、市場を大きく変えるほどの内容とは言いにくいとの見方が示された。
期待される機能がすべてのiPhoneへ一律に開放されるわけでもない。iOS 27はiPhone 11とiPhone SE(第2世代)以降に対応するが、Siri AIを含む次世代のApple Intelligence機能はiPhone 15 Pro/15 Pro Max、iPhone 16以降などに限られる。Siri AIや画像編集、Image Playgroundなど、サーバー上のAIモデルを使う機能には1日当たりの利用回数が設定され、Appleは利用枠を拡大する有料サービスを今後提供する方針だ。EUのiPhoneとiPad、中国も規制対応を理由に初期提供の対象から外れている。
日本市場では、10月の日本語対応後に始まる実利用がSiri AIの評価を大きく左右する。会話の自然さに加え、メールや写真から必要な情報を正確に探し出し、利用者が意図した操作を複数のアプリで安定して実行できるかが焦点だ。約2年の延期を経て投入されたSiri AIが、先行する競合サービスとの差をどこまで縮め、iPhoneの日常的な操作として定着するかが今後の注目点となる。
公式発表:Apple

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