
Securitize・Optimismと機関投資家向け商品を開発
韓国のKB証券は2026年9月23日、米トークン化プラットフォームのSecuritizeおよびOptimism Foundationと、韓国の機関投資家向けトークン証券事業で協力する基本合意書(MOU)を締結したと発表しました。MOUは9月21日に結ばれており、3社は韓国資産を基盤とするトークン化金融商品の発行から供給までを支える体制を構築します。
初期商品として検討するのは、機関投資家向けのトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)と、KB資産運用の代表的な投資戦略を採用したトークン化ファンドです。このうちMMFには、Ethereumのレイヤー2ネットワーク「OP Mainnet」を利用する計画が示されています。
商品化に向けては、KB証券が金融商品の引受・発行・販売に関する機能と機関顧客基盤を生かして供給を担います。Securitizeは市場構造の設計を支援したうえで、商品形態に応じてトークン化基盤、ファンド管理、名義書換代理人などの機能を提供し、OptimismはOP Stackを基盤とするOP Mainnetへの技術統合を支援します。
MMFがトークン化商品の入口となる理由
MMFは短期国債や譲渡性預金などで運用する流動性の高い金融商品で、企業や機関投資家の余剰資金管理に利用されています。価格変動を抑えながら短期運用する性質を持つため、ファンド持分をブロックチェーン上で管理し、オンチェーンに滞留する資金へ運用機会を提供する仕組みと組み合わせやすく、海外でもトークン化の先行分野となっています。
その代表例が、BlackRockとSecuritizeが2024年に立ち上げた米ドル建てファンド「BUIDL」です。同ファンドは現金、米国短期国債、現先取引で運用され、Securitizeがトークン化基盤と名義書換代理人を担当しています。ファンド持分を表すトークンは、投資家登録を終えた適格投資家の間で移転できる仕組みです。
BUIDLはEthereumから複数のブロックチェーンへ展開を広げ、BlackRockの公式情報にはOptimism上のトークンアドレスも登録されています。Securitizeは2026年7月時点で50億ドルを超える資産をオンチェーンで管理しており、KB証券はこうした運用実績を持つ発行・管理基盤を韓国の制度と機関投資家市場へ接続しようとしています。
2027年2月の制度施行を見据えMMFから着手
韓国金融委員会は9月4日、証券の発行・流通をデジタル化する3段階のロードマップを公表しました。改正電子証券法は2027年2月4日に施行される予定で、第1段階では私募MMF、機関投資家限定の債券、信託方式の非上場株式、公募型の小口投資証券などがトークン化の対象になります。
KB証券が機関投資家向けMMFを最初の商品に据えた計画は、この制度施行の順序と重なります。制度上取り扱いやすい商品から運用実績を積み、その後は株式、米国預託証券(ADR)、社債、韓国国債へ対象を広げる構想です。金融委員会も第2段階で公募証券全般へ対象を拡大し、最終段階ではステーブルコインと連携したオンチェーン決済基盤の構築を目指しています。
商品供給については、KB資産運用の戦略を基に国内でファンドを組成するほか、Securitizeが海外の資産運用会社と展開する既存のトークン化ファンドを韓国の機関投資家へ提供する案も検討します。国内商品の開発と海外商品の導入を並行して進めることで、KB証券が機関投資家向けトークン化商品の流通窓口となる可能性があります。
証券規制の枠内で発行・移転を管理
トークン化ファンドでは、ファンド持分と保有者情報をブロックチェーン上のトークンに結び付けて管理します。発行や移転の記録を関係者間で共有しやすくなり、スマートコントラクトを使って一部の管理業務を自動化できれば、照合作業や事務処理の効率化につながります。
投資家の適格性確認、ウォレット登録、譲渡先の制限、資産保管、購入・償還は、証券規制と商品条件に沿って処理されます。トークン化後も投資家保護や本人確認、名義管理を既存金融の仕組みに組み込む必要があるため、技術導入による効率性と規制対応を両立できる運用設計が重要になります。
韓国では、トークン証券を電子証券の一形態として扱う制度整備が進んでいます。認可を受けた金融会社は既存の免許範囲で関連業務を扱える方針が示されており、証券会社の顧客管理や販売網を生かしながらブロックチェーン基盤を導入できることが、既存金融機関の参入を後押しすると考えられます。
DB証券は済州地域の資産をOP Stackで証券化
Optimismは韓国の証券会社との連携をすでに進めています。DB証券は7月7日、Optimism Foundationと済州地域に特化したSTO・RWA事業のMOUを締結し、スマート農業、畜産、韓国の知的財産(IP)を対象とする基盤を2年間かけて構築する計画を示しました。
DB証券がOP Stackを利用した独自基盤の構築と地域資産の証券化を目指すのに対し、KB証券は既存のOP Mainnet上で機関投資家向けファンドを展開する構想です。両社の計画は商品と技術構成が異なるものの、韓国のトークン証券市場が個別資産を活用した資金調達と、機関投資家によるファンド運用の両方向へ広がっていることを示しています。
既存金融システムとの接続が商品化の焦点
今後は、最初のMMFをどのような法的構造で組成し、投資家登録、ウォレット管理、トークン移転、購入・償還を既存の証券口座や銀行決済と接続するかが焦点になります。ブロックチェーン上の記録と、証券会社、運用会社、保管機関が管理する情報を一貫して処理できる体制が整えば、管理業務の効率化や取引時間の拡張につながる可能性があります。
海外のトークン化ファンドを韓国へ導入する場合には、海外商品への投資規制、投資家確認、資産保管、通貨交換も関係します。Securitizeが持つ発行・管理機能を韓国の制度とKB証券の顧客基盤へどう適合させるかは、協業を実際の商品へ移すうえで重要な工程です。
2027年2月の制度施行に向けて商品設計が具体化すれば、韓国のトークン証券市場は個別の実証や資産のデジタル化を中心とした段階から、機関投資家の資金管理やポートフォリオ運用に利用される段階へ進む可能性があります。最初のMMFの商品化と運用実績、その後の株式・債券への展開が、韓国市場におけるトークン化金融の定着を左右することになります。
公式発表:Optimism

コメント