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JPYCでAIの円建て決済を実証、x402社がBCCC入会 商品提供と代金回収に課題

サムネ


JPYC決済の実証を踏まえ、運用基準の研究へ

AIエージェント向けの決済基盤や市場データを開発するx402株式会社は10月30日、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)への入会を発表しました。日本円建てステーブルコイン「JPYC」によるエージェント決済の研究開発を進め、市場に関する情報提供や普及啓発、ウォレット間決済の確認基準の整備に取り組む方針です。

同社は入会発表に先立ち、JPYCでAPIやデータの代金を受け取るゲートウェイを実装し、Polygonのメインネットで決済を完了したと報告しています。その運用では、決済が成立してもデータを提供できない事例が発生し、処理順を改修しました。円建てで支払う仕組みの検証を通じ、商品提供と代金回収をどう結び付けるかという課題が具体化しています。

BCCCは2023年7月にステーブルコイン普及推進部会を新設し、技術・法務の知見共有を進めるとともに、2026年7月からは年会費の支払いにJPYCを導入しています。企業利用に伴う税務・会計処理も検証する同協会への入会は、AIによる支払いを国内の事業運用へつなぐ知見を共有する機会と位置付けられます。


円建ての購入とドル建ての仕入れを接続

決済規格のx402は、HTTPの応答コード「402 Payment Required」を使い、Web上のリクエストに支払い条件の提示や決済処理を組み込む仕組みです。APIやデータの利用ごとに代金を支払えるため、AIエージェントが処理の途中で必要な情報を購入する用途に対応します。

x402社のゲートウェイは、利用者からPolygon上のJPYCによる支払いを受け付け、上流のデータサービスからSolana上のUSDCで商品を仕入れる構成です。物価指数や銘柄別データを対象に、既存のドル建てサービスへ円建ての購入経路を追加しており、買い手側の決済通貨と売り手側の受取通貨をつなぎます。

日本円と1対1で交換できるJPYCを購入窓口に使うことで、利用者は円単位の価格で支出を把握できます。一方、ゲートウェイの運営者は円建ての売上とドル建ての仕入れ費用を管理する立場になるため、採算を評価する際には、決済手数料に加え、通貨間の換算や資金管理に伴う負担も考慮する必要があります。


支払い後のデータ取得失敗を受け、処理順を改修

同社が公表した10月25〜29日の運用記録では、購入20件のうち19件でデータ取得まで成功し、JPYCの支払い検証・決済処理は全件で成功しました。ただし、1件では買い手のJPYCを受け取った後に上流サービスでの購入処理が失敗し、データを提供できなかったため、外部公開前に処理順を変更しています。

改修後は、買い手の支払いを検証してからデータを仕入れ、取得に成功した場合にJPYCを決済する方式としました。これにより、仕入れに失敗した際に買い手の資金が動く事態を防ぐ一方、仕入れ中に買い手がJPYC残高を移すと、運営者が代金を回収できず、仕入れ費用を負担する可能性が生じます。同社は対策として、上流への支払いに日次上限を設け、決済に失敗したアドレスからの支払いを24時間受け付けない仕組みを導入しました。

この経緯からは、異なるチェーンと通貨を介するデータ販売では、買い手の保護と売り手側の費用負担を併せて設計する必要があると読み取れます。決済処理の成功率と、商品を受け取るまでの取引全体の成功率を分けて捉えることが、実証成果を評価するうえで重要になります。


業界では購入権限の確認も進む

AI決済を巡っては、既存のカード網でも検証が進んでいます。Visaは2026年4月、日本を含むアジア太平洋地域で「Visa Agentic Ready」の開始を発表し、国内では三井住友カードや楽天カードなどが参加を表明しました。Googleも2025年9月に「Agent Payments Protocol(AP2)」を発表し、利用者がAIに与えた購入権限を暗号署名付きの記録で確認する仕組みを提示しています。

x402社が公表した8項目の確認基準案も、支出上限、送金先の許可リスト、二重払いの防止、秘密鍵の分離、取引記録の保存などを対象としています。各社の取り組みに共通するのは、AIが支払いを実行できる範囲を定め、その権限と結果を人が検証できるようにする設計です。JPYCによる円建て対応も、こうした制御と記録を組み合わせることが企業導入の前提になります。


継続運用の実績と決済コストを比較へ

同社は、購入先の応答・決済・データ提供を測定する「x402 Seller Probe」と、価格や応答時間を比較する「x402 RFQ Market」を開発しており、後者は2026年11月に本番公開する予定です。購入先の選定から取引結果の確認までを扱うことで、サービスごとの価格と提供品質を検証する方針です。

さらに、同じデータ商品をJPYC・USDCとカード前払いで販売し、手数料、入金までの日数、購入者の選択を比較した実測値を順次公表するとしています。今後は、円建ての利便性が継続利用につながるかに加え、失敗時の費用を含めて安定した運用を維持できるかが評価の軸になります。


公式発表:x402株式会社 PR TIMES

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