
SBIクリアリング信託を12月31日付で吸収合併へ
SBIホールディングス、SBI新生銀行、SBI新生信託銀行、SBIクリアリング信託は10月29日、SBI新生信託銀行を存続会社とする吸収合併の契約を締結したと発表しました。効力発生日は12月31日を予定し、金融庁と関東財務局から必要な認可を得ることを前提としています。
円建てステーブルコイン「JPYSC」の発行を担う信託銀行に、暗号資産現物の信託引受けを手がける会社を統合する再編です。SBIグループは両社の信託・カストディ業務に関する知見を集め、SBI新生信託銀行をデジタル金融領域の中核として強化する方針です。
合併後の資本金は50億円から53億円となる見込みで、株主構成はSBI新生銀行51%、SBIホールディングス49%を維持します。名称や所在地、代表者なども引き継ぐ予定です。
春の資本再編で掲げた発行・保管機能の整備
今回の統合につながる方針は、春の資本再編で示されていました。SBIホールディングスは3月、新生信託銀行の株式49%を取得すると発表し、4月には現在の商号と株主構成へ移行しました。その際、同社をステーブルコインの発行体と各種トークンのカストディアンに位置付け、グループ内の知見を集約する目的を掲げています。カストディは、顧客に代わって資産を保管・管理する業務を指します。
その後、6月24日にJPYSCの先行提供がSBI VCトレードの口座内限定で始まりました。SBI新生信託銀行が発行と裏付け資産の管理・運用、SBI VCトレードが発行委託者として流通などを担い、9月には裏付け資産のうち10億円を短期国債で運用する取り組みも公表されています。一方、SBIクリアリング信託は2023年7月から暗号資産現物の信託引受けを手がけており、合併は、春に掲げた役割を既存事業の統合によって具体化する動きと捉えられます。
JPYSCの活用構想はファンドの購入・分配へ
組織再編と並行して進んでいるのが、JPYSCを投資商品の取引に組み込む検証です。7月にはSBIグローバルアセットマネジメント、DigiFT、Startale Groupが、トークン化日本株ファンドの申込決済と分配金支払いに関する技術検証の開始を発表しました。Ethereumのテストネット上でJPYSCを想定した検証用トークンを使い、決済処理の迅速化や分配業務の自動化などの実現可能性を調べる取り組みです。
さらに10月27日には、SBIホールディングスとStartale Groupがブラックロックと基本合意書を締結し、トークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)とJPYSCを活用したデジタル資産エコシステムの構築に向けた取り組みを発表しました。これらの構想では、金融商品の購入代金や分配金を扱う決済機能と、取引対象の資産を管理する機能が関わります。今回の再編は、こうした用途の広がりに対応する組織基盤の整備として位置付けられます。
証券決済の実証が示す、運用体制づくりの重要性
金融商品とステーブルコインを結び付ける取り組みは、国内の証券決済でも進んでいます。三井住友銀行、SBI証券、大和証券などは10月6日、「Project Trinity」の業務運用検証の完了を発表しました。三井住友銀行が検証用に発行したステーブルコインを使い、デジタル証券の引渡しと代金の支払いを連動させるDvP決済を検証したものです。取引の一方だけが履行されるリスクの低減を目的とし、複数の取引やシステムに対応するため、決済時限内で安定して運用できる体制の整備などを課題に挙げました。
この事例からは、オンチェーン金融の実用化には、通貨や金融商品の発行に加えて、受渡しや保管、資金の受払いをつなぐ業務設計が重要だと分かります。SBI新生信託銀行の再編についても、今後の評価点は、集約した知見を金融機関や資産運用会社が利用できるサービスへどう落とし込むかにあります。対象資産や接続する取引基盤、決済・償還の運用体制が、その実効性を確かめる具体的な項目になります。
公式発表:SBI ホールディングス

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