WEB3業界動向

ソニューム「SONEIUM」発行計画 ファン向けNFTからIPの資金調達へ領域拡大


独自トークンを軸にエンタメ経済圏を構想

イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」は10月26日、独自エコシステムトークン「SONEIUM」の発行計画を公表しました。作品やキャラクターなどの知的財産(IP)を活用する「Tokenized IP(トークン化IP)」と組み合わせ、クリエイターや権利者、開発者、ファン、投資家を結ぶ経済圏を築く構想です。トークンとトークン生成イベント(TGE)の詳細は、後日発表するとしています。

Soneiumは、ソニーグループとStartale Groupの合弁会社Sony Block Solutions Labsが開発し、2025年1月14日にメインネットを公開しました。今回の構想では、個別IPの資金調達や収益分配を支える仕組みを整える一方、SONEIUMにはエコシステム全体の参加者をつなぐ役割を持たせる方針です。


NFTの収集・特典から、IP事業への参加へ

ソニーグループはメインネット公開時、NFTを通じてファンに限定コンテンツや特別な体験を提供する施策を打ち出していました。2025年8月にはメルカリとの基本合意に伴い、「@JAM EXPO 2025」と連携したアイドル関連NFTの販売でSoneiumを活用するなど、デジタルコンテンツの流通を進めてきました。

これらと比較すると、トークン化IPは、ファンと作品の接点を制作資金や事業収益への参加に広げる構想と捉えられます。その一形態である「IP Token」は、クリエイターやスタジオ、個別作品などに対応し、ファン活動の証明に使うコレクタブル型や、各IPの経済圏で通貨として流通する代替可能なトークンを想定しています。

第1弾に挙げたのは、SUPER STATE HOLDINGSのキャラクター「もりうさ」です。ファンや支援者の参加を通じて、グッズ、短編アニメ、ライセンス事業などへの展開を目指すとしています。さらに、音楽カタログファンドなどへの投資機会にアクセスする「IP Vault」や、エンターテインメント事業を裏付けとする「Tokenized IP Bond」も展開する方針で、関連プロジェクトを探して参加する窓口として「Soneium Portal」を設けました。


K-POP提携を支える、コンサート収益の金融商品化

音楽分野では、2026年9月28日付の公式ブログで公表した韓国のDayOneDreamとの提携が先行しています。両社は同社のプラットフォーム「WAVIST」を通じ、K-POPのIPと関連収益をオンチェーン化する方針を示しており、10月26日の発表では、実績のあるK-POPアーティストのコンサート事業から生じるロイヤルティーをTokenized IP BondとしてSoneium上で扱う計画を説明しました。

この提携の背景には、WAVISTでの債券の組成・管理実績があります。同プラットフォームの2026年6月21日付の説明によると、韓国のコンサート事業のキャッシュフローを裏付けとする100万ドルの債券について、発行から元利金の全額償還、対応するトークンの焼却までを完了しました。先行案件では、イーサリアム上のトークンを保有記録として使用したとしています。

注目すべき点は、提携先に発行後の償還まで管理した経験があることです。エンターテインメント事業の収益を投資商品へ結び付けるには、資金を集める仕組みに加え、契約に沿って収益を回収し、支払いを履行する体制が求められます。先行案件が契約条件や償還義務を備えた債券だったことを踏まえると、Soneium上でも、コレクタブルやIP内の通貨と、収益への権利を伴う商品を区別した設計が重要になると考えられます。


資金調達後の権利管理と分配が実用化の焦点

Soneiumは、IPの登録情報を記録する「IP Registry」、原作や派生作品の関係を示す「IP Graph」、ライセンス料や収益分配を処理する「IP Execution Layer」を組み合わせる設計も示しました。IPやライセンス情報を機械が読み取れる形式で扱うイーサリアム規格案「ERC-8432」を支持し、アプリやAIエージェントによる利用条件の確認を支援する方針です。

作品がグッズや映像、音楽などへ展開するほど、利用許諾や収益の帰属を管理する場面も増えます。資金調達と権利管理を一体で整える構想には、こうした商業展開から生じる収益を、あらかじめ定めたルールに沿って分配する狙いが読み取れます。その実用性を左右するのは、事業で生じた収益とオンチェーン上の記録・分配をどう結び付けるかです。「もりうさ」やK-POP関連の案件で参加者の権利と支払いの仕組みを具体化し、その中でSONEIUMがどのような役割を担うかが、今後の焦点となります。


公式発表:Soneium

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