
銀行口座とウォレットをつなぐチャージ機能を検討
JPYC株式会社は10月21日、SBJ銀行およびLINE NEXT Inc.と、業務提携に関する覚書を20日付で締結したと発表しました。3社は、日本円建てステーブルコイン「JPYC」を活用した銀行口座連携型チャージ機能の概念実証(PoC)に向けて協業し、口座連携からJPYCの発行、デジタルウォレットへの統合までの処理手順を、技術・運用の両面から設計する方針です。
協業では、SBJ銀行が銀行口座とバンキングインフラを提供し、LINE NEXTが「Unifi」を含むウォレット基盤や「Unifi Pay」などのデジタルサービス、ブロックチェーン関連技術を持ち寄ります。JPYC社は発行・償還に関する技術支援と専門的知見を提供し、各社の基盤を組み合わせたチャージ機能の実現可能性の検証を支えるとしています。
ウォレットへの採用から決済利用へ広がった連携
JPYC社とLINE NEXTは2026年1月、LINEを活用した新たなステーブルコインウォレットでのJPYC利用に向け、協業検討を開始しました。その後、2月にUnifiへの採用を正式決定し、5月22日にはKaiaネットワーク上のJPYCが利用可能になったと発表しています。これにより、LINEアプリからアクセスできる自己管理型ウォレットで、JPYCを保有・利用する環境が整えられました。
さらに、LINE NEXTは8月6日、決済サービス「Unifi Pay」の正式提供開始を発表しました。韓国観光関連の商品やバウチャーをJPYCで購入できる「K-Pick」を設け、日本国内向けのラグジュアリーマーケットプレイス「MOLTS」でもJPYC決済に対応しています。ウォレットへの採用から商品購入へと用途が広がったことで、支払いに使うJPYCを銀行預金から円滑に取得できる仕組みの重要性も増しています。
操作の一体化から銀行側の処理との接続へ
JPYCを銀行預金から取得する手順は、発行・償還サービス「JPYC EX」で用意されています。2025年10月の提供開始時には、利用者が発行予約を行って指定口座へ日本円を振り込み、登録済みのウォレットアドレスでJPYCを受け取る仕組みが示されました。このため、ウォレットと発行サービスをまたぐ手続きの分かりやすさが、利用時の課題の一つとなってきました。
その改善に向け、JPYC社は2026年7月、外部のウォレットやサービスからJPYC EXの手続き画面へ利用者を案内する「JPYC EX連携API」の提供を発表しました。10月6日にはマイナウォレットが同APIを導入し、発行予約から受取確認、償還に伴う送金までをアプリ内で進められる機能を提供したと発表しています。発行・償還の審査や申し込みの受付はJPYC社が担いながら、利用者の操作を一体化する取り組みです。
こうした先行事例を踏まえると、今回の協業は、ウォレットと発行サービスの画面連携に加え、銀行口座側の処理を含めて資金移動の仕組みを設計する動きと位置付けられます。銀行、発行体、ウォレット事業者が共同で検証することで、入金からJPYCの受け取りまでの手続きを、サービス全体として改善できるかが焦点になります。
銀行預金との接続を送金・決済サービスへ
銀行口座とJPYCをつなぐ検討には、関連する先行例もあります。ソニー銀行は2026年3月、JPYC社との基本合意に基づき、リアルタイム口座振替によって同行の預金からJPYCを即時購入できる機能を検討すると発表しました。別途振込手続きをせず、JPYC EX上の操作で購入を完結させる構想で、銀行預金からステーブルコインへの資金移動は、複数の銀行との協業テーマになっています。
今回参加するSBJ銀行は、韓国の新韓銀行が100%出資する日本の銀行です。覚書にはLINE NEXTとの2社間の戦略的業務提携も含まれ、Web3サービスと銀行サービスの協業分野を探るとともに、PoC後の送金・決済を含む新たな金融サービスの事業化も検討するとしています。
利用者にとって重要になるのは、チャージ時の操作や入金反映までの時間、費用が、実際の使いやすさにつながるかです。Unifiでは商品購入への対応が進んでおり、銀行口座から必要な額を取得して支払いに使える流れが整えば、JPYCを日常的に利用する選択肢が広がる可能性があります。今回の検証は、銀行預金とウォレット内の資産を結び、決済サービスとしての利便性を高めるための基盤づくりとなります。
公式発表:JPYC PR TIMES

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