WEB3業界動向

暗号資産から円基準の資金調達へ、JPY DeFiが本番稼働

サムネ


構想公表から約3週間でEthereum上に公開

暗号資産・ステーブルコイン領域でプロダクト開発を手がけるDeltaForesightは10月15日、同社が設計・開発に携わるDeFi(分散型金融)プロトコル「JPY DeFi」がEthereumメインネットで公開されたと発表しました。利用者はwstETHまたはUSDCを担保に、日本円との価値連動を目標とする暗号資産型ステーブルコイン「JPYdf」を借り入れられます。

同社は9月25日、累計3億2,400万円の資金調達とともにプロトコルの概要を公表しており、約3週間で本番環境での公開に至りました。暗号資産や米ドル建て資産を起点に、円を単位とする借入・運用・取引の流動性を生み出す構想が、Ethereum上で稼働する段階に進みました。

DeltaForesightは設計・開発等に携わるコントリビューターで、操作画面となるフロントエンドはJPYdf Foundation DAO LLCが提供します。ただし、日本や米国などの居住者・所在者は同フロントエンドの提供対象から除外されており、プロトコルの公開範囲と操作画面の利用条件には区別があります。


JPYCとの比較で見える、円基準の資産を得る経路の違い

円建てステーブルコインでは、JPYC社が2025年10月27日に発行・償還サービスを開始した電子決済手段「JPYC」が先行しています。JPYCは預貯金や国債で発行残高の100%以上を保全し、登録利用者が円を入金して発行を受けたり、償還手続きを通じて銀行口座へ円の払い戻しを受けたりできる仕組みです。

これに対し、JPYdfは預け入れた暗号資産などを裏付けとして、スマートコントラクトのルールに従って発行・償却されます。保有資産を売却せずに借入へ活用できる一方、日本円による償還請求権は伴わず、円との価値連動や価格の安定、元本保全なども保証されません。

この比較から、JPY DeFiはオンチェーン上の保有資産を円基準の資金調達につなぐ取り組みと位置付けられます。円を入金してトークンを取得する経路に、暗号資産を担保として借り入れる経路が加わることで、円基準の資産を利用する層が広がる可能性があります。


Liquity v2を基盤に、担保価格と為替を踏まえた管理へ

暗号資産を担保にステーブルコインを借り入れる方式には、既存のDeFiで先行事例があります。2025年5月に公開されたLiquity v2は、ETHやwstETH、rETHを担保に米ドル連動型の「BOLD」を借り入れる仕組みを採用しました。JPY DeFiは公式文書で、Liquity v2を基に開発したフレンドリーフォークと説明しており、借り手が金利を設定できる仕組みも採用しています。

JPY DeFiでは担保ごとに独立した市場「ブランチ」を設け、借入額を上回る価値の担保を求める過剰担保方式を採用しています。担保の円換算評価額を債務額で割った担保率が所定の基準を下回ると清算対象となり、利息などによる債務の増加も担保率を押し下げる要因になります。

円換算で担保を評価するため、借り手には資産価格に加えて為替への目配りも求められます。例えば、USDCが米ドルとの連動を維持していても、円高・ドル安が進めば円建ての担保評価額は下がります。円基準で借り入れる場合にも、担保の通貨や価格特性に応じたリスク管理が重要になります。


償還機能で価格調整を促す、普及の焦点は取引と利用先

JPYdfの価格を1円に近づける仕組みの一つが、担保資産を表す「dToken」と交換するオンチェーン償還です。市場価格が1円を下回ると、JPYdfを取得し、1枚当たり1円を参照した計算でdTokenへ交換する取引に経済的な動機が生まれます。交換されたJPYdfは焼却され、こうした取引が価格を目標へ近づける方向に働く設計です。

ただし、その働きは償還手数料や受け取る担保の価値、Ethereumのネットワーク手数料、dTokenを元の資産へ戻す条件に左右されます。このため、市場価格が1円から乖離する可能性があり、借り手にとっては金利に加え、JPYdfを交換する際や返済のために再取得する際の価格・流動性も利用コストに関わります。

本番公開を経て、次の焦点は借り入れたJPYdfの利用先が広がり、継続的な需要につながるかに移ります。交換や運用に使える場面をどこまで増やせるかが、円基準の資金調達をオンチェーン金融に定着させるうえで重要になります。


公式発表:DeltaForesight PR TIMES

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