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サイバーステップ『なら☆こい』商品化へ 停滞した個人企画を歴史恋愛ノベルに

サムネ


聖徳太子らとの学園生活、Steam・Switchで年内発売を目指す

サイバーステップは10月8日、あをにまる氏による乙女ゲーム企画を引き継ぎ、『なら☆こい ~古代人なれど恋したひ~』をWindows(Steam)とNintendo Switch向けに開発中だと発表した。奈良ゆかりの歴史上の人物と学園生活を送るノベルゲームで、聖徳太子、中臣鎌足、大伴家持の3人が攻略対象となる。同日公開されたファミ通.comのインタビューによると、2026年内の発売を目指している。

教科書で見覚えのある肖像と学園恋愛を組み合わせた企画は、SNSで注目を集めたものの、個人制作の負担から開発が停滞していた。今回の合意では、原作者が企画・原案・シナリオを担い、サイバーステップがイラストやプログラムなどを制作する。原作者の発想を企業の制作体制で支え、販売作品へ仕上げる取り組みとなる。


協力を求めた取材記事が、開発再開の転機に

ファミ通.comの取材では、2022年ごろにキャラクター設定を公開していた経緯が紹介されている。その後、あをにまる氏は執筆や別のゲーム制作に取り組み、2026年3月にXアカウント「卑屈な奈良県民bot」で開発画面を公開した。しかし、プログラムからシナリオまでほぼ一人で進める作業が滞り、5月7日のインタビューで、ゲーム会社に企画の買い取りと制作への協力を呼びかけていた。

この記事を読んだサイバーステップのスタッフが社内に企画を紹介し、掲載から約2週間以内に原作者への接触につながったという。同社は、登場人物の見た目と物語のギャップに面白さを感じたと説明している。あをにまる氏も、イラスト制作の難しさから企画が行き詰まっていたと語っており、制作上の課題を企業が引き受けることで開発を進められる形になった。

商品化に向けて、収録範囲も整理した。個人制作時には4ルートを想定していたが、攻略対象は3人に絞っている。候補だった行基について、原作者は一般に思い浮かべられる肖像が乏しいことを挙げ、シナリオの分量も選定に影響したと説明した。制作を再開するとともに、肖像を生かす作品の方向性に沿って構成を具体化している。


ならこい


肖像と恋愛のギャップに込めた、歴史への入口

あをにまる氏は5月の取材で、古代史になじみの薄い若い世代にも手に取りやすいコンテンツを作りたかったと説明していた。攻略対象の肖像を生かしたのも、普段は恋愛ゲームに触れない人が興味を持てるようにするためで、目指す雰囲気として『学園ハンサム』や『はーとふる彼氏』を挙げている。聖徳太子との恋愛という意外性は、歴史への関心を引き出す狙いと結び付いている。

参考作品の一つである『はーとふる彼氏』は、鳥たちとの学園恋愛を描き、2014年にはリメイク版がSteamで発売された。恋愛ゲームの形式に異色の攻略対象を組み合わせた先行例であり、原作者がこの作品を挙げたことからも、『なら☆こい』は意外性とコメディーを通じて、恋愛ゲームの経験が少ない人にも楽しんでもらう作品を目指していると捉えられる。


生徒会選挙や大仏反省会、選択肢で楽しむ歴史パロディー

主人公の小野妹子は女子高校生として登場し、共通ルートの後に図書室で勉強するか、「ネオ蹴鞠部」のマネージャーになるか、「軽音和歌部」に入るかを選んで各人物の物語へ進む。中臣鎌足編では、大化の改新を題材に蘇我入鹿を生徒会選挙で倒す展開を描き、簡単な探索要素も取り入れる。選択によっては鹿にひかれるバッドエンドに進み、その一部では大仏が豆知識や駄じゃれを語る「大仏反省会」が登場するという。

プレイ時間は1.5~2時間を想定するが、制作側はシナリオの増加に伴って長くなる可能性にも言及している。好感度を数値で示す仕組みは設けず、選択肢に応じた内部的な蓄積によってトゥルーエンドを解放する方針だ。ボイスは付けない想定で、追加課金要素を設けず、ワンコイン程度の価格を目指す。5月の取材で話題に上がった、課金で聖徳太子の見た目を美化する案も、採用を見送る方向が示された。

サイバーステップは、短めのプレイ時間についてコメディーのテンポや動画配信での楽しみ方を考慮したと説明し、友人同士で展開を見守る遊び方にも期待を寄せている。価格や構成の方針を合わせて見ると、興味を持った人が気軽に購入し、選択肢や結末を試せる体験を重視していることがうかがえる。


多言語展開で、架空の奈良から実際の歴史へ

発売時には英語と中国語の簡体字・繁体字への対応を予定する。サイバーステップは、日本文化に詳しい海外子会社の翻訳者や、和風オンラインRPG『鬼斬』の開発・運営経験を生かす考えを示した。個人制作時には海外展開の難しさも語られていたため、協業によって変わるのは制作体制とともに、作品を届けられる言語圏でもある。

作品は、歴史上の人物や出来事を大胆にアレンジした架空の奈良を描く。あをにまる氏はフィクションとして楽しんでほしいとしたうえで、登場人物の史実や談山神社などのゆかりの場所に関心を持ってもらいたいと話している。今後は、肖像と学園生活のギャップを生かした笑いを、海外のプレイヤーにもどう伝えるかが注目される。歴史パロディーを楽しむ体験が、奈良や古代史に親しむきっかけとなることが期待される。


公式発表:サイバーステップ PR TIMES

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