
モバイルSuicaに追加、本人確認で最大30万円の決済に対応
JR東日本は10月6日、モバイルSuicaアプリ内で利用できるコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を、同月20日午前11時以降に順次開始すると発表した。既存のアプリ利用者には機能が自動で追加され、専用アプリのダウンロードや新たな会員登録は不要だ。改定後のモバイルSuica利用規約とteppay会員規約などへの同意を経て利用できるようになる。
マイナンバーカードによる本人確認を行うと、teppay残高で最大30万円まで決済でき、ビューカードを連携すれば事前チャージなしでカードの利用限度額まで支払える。交通系IC残高の上限が2万円のSuicaに別の決済手段を組み合わせることで、同じアプリから高額な買い物や利用者間の残高の受け渡しへ用途を広げる。
受け取った残高を交通費へ、店舗では対応マークを確認
teppay残高はSuicaの交通系IC残高と別に管理され、ビューカード、金融機関、セブン銀行やローソン銀行のATMからチャージできる。利用者同士で送受信できるため、家族から受け取った残高の一部をSuicaへ移して交通費に充て、残りを買い物に使うといった利用が可能になる。鉄道やバスへの乗車には交通系IC残高を使う仕組みで、teppay残高はモバイルSuica定期券やSuicaグリーン券などの購入にも対応する。
店頭では、JR東日本グループの商業施設やteppay加盟店に加え、JCBが提供する「Smart Code」の全国170万カ所以上でコード決済を利用できる。この数値は2026年3月末時点のもので、交通系電子マネーとは加盟店の範囲が異なるため、対応マークに合わせてタッチ決済とコード決済を使い分けることになる。オンラインでは、アプリ内で発行する「teppay JCBプリカ」を通じて、国内のJCBブランド加盟店で残高を使える。
通常の還元率は、teppay残高払いが支払額の0.5%分のteppayポイント、ビューカード連携払いが1%分のJRE POINTだ。teppayポイントはJRE POINTへ交換できるが、利用先によっては付与対象外となる。アプリを追加する手間は抑えられる一方、利用者は支払い方法ごとの対応店舗と還元条件を把握する必要がある。
2024年の構想を具体化、既に広がったコード決済市場へ
JR東日本は2024年12月、「Suica Renaissance」としてSuicaの用途を移動から生活全般へ広げる方針を公表し、2026年秋をめどにコード決済や残高の送付、クーポン、地域限定バリューなどを追加する計画を示した。2025年11月にはteppayの名称とモバイルPASMOとの連携を含むサービス概要を発表しており、10月6日の発表で開始日時と利用促進施策が具体化した。
参入先のコード決済は、国内で既に大きな決済分野となっている。経済産業省が2026年3月に公表した統計では、2025年のコード決済額は16.6兆円で、電子マネーの6.0兆円を上回った。この市場環境を踏まえると、teppayはSuicaの少額決済を補うとともに、日常の買い物で選ばれる決済手段を広げる取り組みと位置づけられる。既存のコード決済を使う利用者に対し、交通サービスとの接続をどこまで利用の動機にできるかが問われる。
TMNも対応、駅の外で使える環境を整備
利用者側では、約4,500万枚が発行されているモバイルSuicaへの機能追加が導入の入口になる。店舗側ではSmart Codeの加盟店網を活用しながら、掲示されたQRコードを利用者が読み取る方式も用意している。JR東日本とビューカードが7月に公表した条件によると、この方式は専用端末の設置が不要で、初期費用は無料、通常の決済手数料は1.9%だ。既存のアプリと店舗設備を生かし、利用者と加盟店の双方で導入負担を抑える設計となっている。
決済インフラ企業のトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)も10月6日、自社の決済ゲートウェイでteppayに対応すると発表した。同社のサービスはスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの120万台超の決済端末と接続しており、既存加盟店での導入を支援する方針だ。TMNは生活圏内の店舗への導入を普及の要件として挙げており、鉄道利用の前後に限らず、普段の買い物で選べる環境づくりが進む。
還元施策で利用を促進、翌春にはPASMOとの接続へ
11月4日から12月25日までは、エントリー後に税込500円以上のコード決済を行うと、20%分の期間限定teppayポイントを付与するキャンペーンを予定している。期間中の上限は1人5,000ポイントで、一部対象外の加盟店や早期終了の条件がある。11月4日から2027年1月29日までは、teppay残高によるモバイルSuica通学定期券の新規・継続購入などに2,000ポイントを付与する施策も予定し、買い物と通学の両面から利用を促す。
2027年春にはモバイルPASMOへの導入を計画しており、対応後は両アプリの利用者間でteppay残高を受け渡し、それぞれの交通系IC残高へチャージできるようになる。JR東日本は、こうした機能を2028年度に予定する「Suicaアプリ(仮称)」につながる取り組みとして位置づけている。
これらの施策から見ると、開始時の還元は利用を試すきっかけとなり、交通費の受け渡しや定期券購入は継続利用を支える用途になり得る。今後は、PASMOとの連携や身近な店舗への導入が進むなかで、交通アプリに備わった決済機能が日常の支払いに定着するかが注目される。
公式発表:JR東日本

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