WEB3業界動向

Pacific Meta、Chainlinkとの協業を金融分野へ拡大 預金・決済の事業化と並行し基盤整備

サムネ


CCIPを優先採用、ACEの国内導入支援も開始

Pacific Metaは10月16日、Chainlinkの主要開発企業の一つである米Chainlink Labsと戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。異なるブロックチェーンを接続する「Cross-Chain Interoperability Protocol(CCIP)」を相互運用性ソリューションとして優先採用し、日本の金融機関や企業によるトークン化資産、オンチェーンID、コンプライアンス基盤の導入を支援する方針です。

提携に伴い、海外ブロックチェーン製品の導入支援サービス「Partner Solutions」に、取引条件や本人確認情報に基づくルールの適用を支援する「Automated Compliance Engine(ACE)」を追加しました。両社は市場開発、事業開発、オンチェーンIDと信頼基盤の3領域で連携し、Pacific Metaが日本の規制環境や商習慣に合わせた導入を支えるとしています。


2023年のゲーム向け協業から対象を拡張

両社の提携は2023年6月2日にさかのぼります。当時は、検証可能な乱数を提供する「Chainlink VRF」の利用促進と、開発支援プログラム「Chainlink BUILD」の日本市場での拡大を掲げていました。Pacific Metaはマーケティングやローカライズ、コミュニティ運営などを通じ、特に国内のWeb3ゲーム企業によるサービス活用を支援する立場でした。

この経緯を踏まえると、今回の提携は、既存の協力関係を金融用途へ広げる動きと捉えられます。ゲーム開発で使う機能の普及から、金融機関が資産を発行・流通させる際の接続や取引管理へ、協業の対象が広がっています。


国内では預金・ステーブルコインの事業化を推進

Pacific Metaは金融分野での連携も相次いで発表しています。10月5日にはDCPとトークン化預金の事業化・活用拡大に向けて提携し、DCPの預金基盤や金融実務・規制対応の知見に、Pacific Meta側の事業戦略・開発支援を組み合わせる方針を示しました。金融機関による発行から事業者による利用までを支える計画です。

さらに10月16日には、RSホールディングスとの合弁会社「RSPMデジタルファイナンス」の設立を発表し、ステーブルコインを使った企業間決済、海外送金、企業の資金管理などを想定していると説明しました。こうした事業展開と並行するChainlinkとの協業は、金融サービスの企画・開発を、ネットワーク接続や取引ルールの適用という技術面から支える取り組みとして位置付けられます。


資産の移動先でも取引条件を維持する仕組み

CCIPは、異なるブロックチェーン間でトークンを転送し、スマートコントラクト間でメッセージを送受信するためのプロトコルです。Pacific Metaは選定理由として、分散型の検証体制や接続経路ごとの転送量制限に加え、資産発行体が発行上限や緊急対応の管理権限を保持できる点を挙げています。

一方、ACEは本人確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)に関する情報、投資家の資格情報などを利用し、取引条件の確認・適用を支援します。Chainlinkによると、CCIPと組み合わせることで、パブリック・プライベート双方のブロックチェーンをまたぐ資産移動にもルールを適用できます。資産の接続先を広げながら、発行体が定める参加資格や取引条件を維持するための設計です。


海外の実取引から国内の業務導入へ

海外では、Chainlinkを使って既存の金融システムとトークン化資産を結び付ける取り組みが進んでいます。2024年11月にはSwift、UBS Asset Management、Chainlinkが、Swiftネットワークを利用したトークン化ファンドの購入・償還に伴う決済の実証完了を発表しました。ブロックチェーン上の資産と法定通貨決済を連携させ、処理の自動化を検証した事例です。

続く2025年11月には、UBSがDigiFTとともに、Chainlinkの「Digital Transfer Agent(DTA)」技術標準を用いたトークン化ファンドの購入・償還取引を本番環境で実行したと発表しました。金融分野での活用は、システム間の接続を確かめる段階から、実際のファンド業務へと進んでいます。

こうした先行事例を背景に、国内では日本の制度や既存業務に適した導入設計が焦点になります。Pacific Metaが預金・決済分野で築く企業との接点を、具体的な金融サービスの開発へどうつなげるか。今回の協業は、海外で利用が進む技術を国内企業の業務へ橋渡しする取り組みとして、今後の展開が注目されます。


公式発表:Pacific Meta

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