
HSBCなどと営業時間外の資金管理を検証
配車・配送サービスを展開するUberが、トークン化預金とトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)を組み合わせた資金管理の実証を完了しました。HSBC Bank USA、フランクリン・テンプルトン、Tradeweb Markets、Fireblocksが10月30日に共同発表しました。企業が営業時間外の支払いに備えながら、余剰資金を運用できる仕組みを検証しています。
UberはHSBCのトークン化預金を使い、Tradewebを通じてフランクリン・テンプルトンのトークン化MMFを購入し、保有持分の一部を週末にも換金しました。取引・決済にはCanton Networkを利用し、Fireblocksがウォレット技術を提供しました。
早めの現金化が生む運用機会の損失
MMFは短期の債券などで運用する投資信託で、企業の余剰資金の運用にも利用されます。ただし、換金の締め切り時刻や決済までの時間があるため、夜間や週末にも支払いが発生する企業は、必要な資金をあらかじめ現金で確保する必要があります。この時間差が、運用に回せる資金や期間を制約します。
実証では、MMF持分と代金を同時に受け渡すDvP(Delivery versus Payment)方式を採用しました。資産と資金の移転を一体で処理することで、一方だけが履行される決済リスクを抑えます。週末の換金と組み合わせれば、支払いに備えて早めに資金を取り崩す必要性を減らし、運用を続ける余地が生まれます。
Uberの財務担当幹部オデット・ロドリゲス氏も、支払いに対応しながら手元資金の運用効率を高め、待機資金を減らせる柔軟性を評価しています。企業財務への影響を考えるうえでは、決済時間の短縮が、資金配分の見直しにどこまでつながるかが重要になります。
トークン化された保有記録を実際の資金需要へ
MMFのトークン化には先行事例があります。BNYとGoldman Sachsは2025年7月、BNYの「LiquidityDirect」で取り扱うMMF持分に対応したミラートークンを「GS DAP」で作成する仕組みを発表しました。正式な帳簿や決済をBNYが維持しながら、将来の持分移転や担保利用につなげる構想です。
決済手段の側では、HSBCが2026年4月に米国でトークン化預金サービスの提供開始を発表し、対象顧客による国内外の資金移動を24時間365日処理する基盤を整えました。また、Tradewebは同年7月、Canton Network上でトークン化米国債とUSDCxを同時決済する取引を完了したと発表しています。
これらと比較すると、Uberの実証は、トークン化された銀行預金と運用商品を、事業会社の運転資金管理で接続した事例と位置付けられます。資産の記録や移転をデジタル化する取り組みを、休日にも発生する資金需要への対応に結び付けた点に意義があります。
導入効果を決める換金体制と費用対効果
実務への定着には、必要な時に必要な額を換金できる体制と、企業側の承認手続きへの組み込みが求められます。決済が速くても、換金や承認に時間がかかれば、企業は支払いに備える現金を多めに残す必要があります。導入効果は、実際に削減できる待機資金の額と、追加の運用収益から取引・管理費用を差し引いた成果で評価する必要があります。
また、MMFには元本割れのリスクがあり、ブロックチェーンを利用した持分管理にも固有のリスクがあります。 今後、同様の仕組みを継続利用する企業が増えるかを見極めるうえでは、休日の換金を安定して実行し、支払いに必要な流動性と運用効率を両立できるかが鍵になります。
公式発表:Canton Network

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