
NAC発行元の親会社が上場承認
「NOT A HOTEL」を展開するNOTA株式会社は11月6日、東京証券取引所グロース市場への新規上場承認を受けたと発表しました。上場予定日は12月9日、証券コードは673Aで、主幹事は野村證券とSBI証券が務めます。暗号資産「NOT A HOTEL COIN(NAC)」を発行するNOT A HOTEL DAO株式会社は同社の完全子会社であり、上場申請書類からは、物件販売を軸とするグループの業績とNAC関連事業の収益構造が読み取れます。
公募は508万800株、既存株主による売出しは1,221万6,600株を予定し、需要に応じてオーバーアロットメントによる259万4,600株の追加売出しも行う計画です。売買単位は100株で、仮条件は11月20日、公開価格は11月30日に決定し、12月1~4日に申し込みを受け付ける予定となっています。
半期売上が前期通期を上回る、開業に伴う売上計上が寄与
2027年3月期中間期(2026年4~9月)の連結売上高は216億8,600万円、営業利益は43億1,000万円、親会社株主に帰属する中間純利益は17億3,700万円でした。前期通期の売上高128億7,800万円、営業利益10億7,500万円を半年間で上回り、4月の瀬戸内、7月の北軽井沢BASE第3期、8月の青島第2期の開業に伴う売上計上が寄与しました。
この増収には、契約と売上計上の時期に差が生じる事業構造が反映されています。同社は、施設ネットワークの利用に関するライセンス売上をオーナー登録完了時に計上し、建物・土地などのアセット売上は原則として物件の開業時、既存物件は引き渡し完了時に計上します。複数の開業が重なった中間期には、先行して販売していた物件の売上がまとまって業績に反映されました。
これに対し、中間期に新たに締結した販売契約の金額を示す契約高は192億7,800万円でした。売上高には過去の契約に基づく引き渡しも含まれるため、半期の増収をそのまま新規需要の伸びと捉えると、事業の実態を見誤るおそれがあります。今後の収益を見通すうえでは、新規契約の積み上がりと契約済み物件の開業進捗が、それぞれ異なる意味を持ちます。
NACは物件取得の資金と宿泊サービスを接続
NOT A HOTEL DAOは2024年12月、GMOコインを通じたIEO(暗号資産交換業者を介したトークン販売)で20億円を調達しました。上場申請書類では、この資金をグループのセカンドハウスの購入や共同開発に使用すると説明しています。利用者がNACを同社に一定期間貸し付けると、サービスに応じて宿泊権やNACによる報酬を受け取れる仕組みで、2026年3月末のレンディング残高は10億6,000万円でした。
NACは宿泊時の飲食代などの支払いにも使われ、保有者向けサービス「THE DOOR」では宿泊権の抽選や先着販売を行っています。さらに、2026年10月8日にはコインチェックが取り扱いを開始し、NOT A HOTELアプリでの残高表示やレンディング利用にも対応しました。2025年12月に発表した両社の協業を経て、NACの購入から宿泊サービスの利用までの経路が広がっています。
調達額と業績への寄与には差、収益の中心は物件販売
IEOで受領した20億円は、物件の取得・保有を通じて宿泊や決済にNACを利用できる仕組みを構築する義務の対価として、負債に計上されています。その後、物件取得の進捗やサービス提供期間に応じて収益へ振り替える会計処理を採用しており、連結財務諸表の注記によると、2026年3月末の関連する契約負債は19億4,900万円でした。また、同年度に収益として認識した金額は、上場申請書類のリスク説明に4,100万円と記載されています。
グループ内取引を除いた2026年3月期の外部顧客向け売上高は、物件などを販売するメンバーシップ事業が113億900万円、ホテル運営などのオペレーション事業が14億9,800万円、NAC関連事業などを含むその他事業が7,100万円でした。NACは物件取得とサービス利用を支える役割を担うものの、連結売上高への寄与は限定的で、業績を支える基盤はセカンドハウスなどの販売にあります。
大型増資から上場へ、事業拡張と継続収益の両立が課題に
NOTAは2026年8月、トヨタ・インベンション・パートナーズやSBIグループなどを引受先とする第三者割当増資で100億円を調達しました。既存株主による株式譲渡65億円を含む総取引額は165億円で、モビリティ事業「NOT A GARAGE」の推進や購入者向け提携ローンの検討を進めています。続く10月には、NOT A HOTELからNOTAへの社名変更と、住宅の「NOT A HOUSE」、街づくりの「NOT A CITY」を含むグループ体制の強化を発表しました。上場は、別荘事業で培った開発・運営基盤を周辺領域へ広げる過程で迎えることになります。
こうした拡張を支えるのが、販売後にも収益が生じる運営事業です。2026年4~9月には、宿泊料売上7億400万円、付帯費売上3億3,200万円、管理費収入3億1,400万円を計上しました。事業構造から見ると、物件の販売・引き渡しによる収益に、開業後のサービス収益を重ねられるかが成長の持続性を左右します。NACを通じた利用者との接点を含め、拠点拡大が施設利用と継続収益の増加にどこまでつながるかが、上場後の事業を評価する軸となります。
公式発表:NOTA PR TIMES

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