
店舗実証から複数チェーン対応の開発へ
マルチキャッシュレス決済基盤を手がけるネットスターズは2026年4月13日、Circle Technology Servicesが提供するクロスチェーン基盤「Gateway」を活用し、複数のブロックチェーン上でステーブルコイン決済に対応するための技術開発を始めたと発表しました。羽田空港などで進めてきたUSDCの店舗決済実証を踏まえ、異なるチェーンにまたがる決済フローの設計を検討します。
この開発は、同社が4月8日に発表した「StarPay-X」構想に沿った取り組みです。同構想は、従来の決済・金融インフラとWeb3金融を接続し、店舗決済で対応するチェーンやウォレット、コインを段階的に広げる方針を掲げています。Gatewayを用いた技術評価は、そのうち複数チェーンに対応する決済インフラの開発を具体化する動きと位置付けられます。
ネットスターズは、国内外のQRコード決済などを一括導入・管理できる「StarPay」を展開しています。既存の店舗運用に複数の支払い手段を組み込んできた企業が、ステーブルコインにも同様の使いやすさを持ち込めるかが注目点です。開発の意義は、ブロックチェーンを接続する技術と、店舗で日常的に使える決済の仕組みを結び付けることにあります。
同じUSDCでもチェーンごとに分かれる残高
USDCは米ドルに連動するステーブルコインで、複数のブロックチェーン上で流通しています。ただし、同じ名称のUSDCを保有していても、あるチェーン上の残高を別のチェーンの決済で使うには、チェーン間の移動を支える仕組みが必要です。店舗側の対応ネットワークと利用者の資金があるネットワークが異なると、支払いまでの操作が増える可能性があります。
この分断は、決済サービスを運営する側にも影響します。CircleはGatewayの発表時、サービス事業者が需要に備えて複数チェーンに資金を配置し、それぞれの残高を管理することが運用負担や資金効率の低下につながると説明しました。対応チェーンを増やすほど資金管理が複雑になる課題を、共通の残高として扱う設計で軽減する狙いがあります。
Gatewayでは、対応チェーン上の専用スマートコントラクトにUSDCを預け、入金の確定後に統合残高へ反映させます。その残高を利用し、署名とCircleの証明情報を通じて送付先チェーンでUSDCを発行し、元の残高から同額を焼却する仕組みです。ネットスターズは、この基盤を自社サービスのマルチチェーン対応や、拡張性のある決済フローに適用するための評価を進めています。
羽田と姫路の実証で確かめる店頭運用
実店舗での取り組みは、2026年1月26日から2月28日まで羽田空港第3ターミナルの2店舗で行った実証にさかのぼります。日本空港ビルデングと連携し、「Edo食賓館(時代館)」と「Edoイベント館」で訪日客向けのUSDC決済を検証しました。空港という海外利用者との接点が多い場所で、デジタル通貨を買い物の支払いにつなげた事例です。
続く4月2日には、兵庫県姫路市のトレーディングカード専門店「TCG BW姫路店」で第2弾の実証を始めました。利用者がMetaMaskで支払い用QRコードを提示し、店舗が決済端末で読み取る方式を採用しています。店舗側は金額入力から売上金の取り扱いまで円で運用でき、普段のQRコード決済に近い手順で商品を渡し、売上の精算を行える設計です。
この運用から見えてくるのは、利用者が支払う資産と店舗が扱う通貨を分けながら、会計時の操作をなじみのある形に保つ重要性です。対応チェーンの拡張にも、同じ発想が求められます。利用者の資金がどのネットワークにあるかという違いを決済基盤側で吸収できれば、店頭で求められる案内や操作の負担を抑えることにつながると考えられます。
チェーンの拡張と店舗の使いやすさをどう両立するか
Gatewayが扱うUSDCの統合残高と、StarPay-Xが掲げる複数コイン・複数ウォレットへの対応は、それぞれ異なる範囲の課題です。前者がチェーンをまたぐ資金利用を支えるのに対し、後者には利用者のウォレットとの接続や、通貨ごとの決済処理も関わります。ネットスターズは、国内外のパートナーとの技術検証を通じ、単一チェーンへの依存を抑えたインフラ設計を検討する方針です。
4月13日時点の取り組みは、技術評価と開発の段階にあります。店舗実証で得た知見を基盤設計に反映する過程として捉えると、次に問われるのは、対応するネットワークが増えた際にも支払いから売上精算までを安定して運用できるかという点です。複数チェーンの資金を使える利便性が、会計時の負担軽減につながるかが実用面の焦点になります。
今後の検証では、チェーン間の資金利用に加え、支払い完了の確認や取引記録と店舗側の売上管理をどうつなぐかも重要になると考えられます。既存のキャッシュレス決済で培った運用を生かし、利用者が保有するUSDCを日常の買い物に結び付けるには、店頭でチェーンの違いを意識する場面を減らす工夫が求められます。技術的な対応範囲の広さを、店舗と利用者双方の使いやすさへどう転換するかが、開発の進展を見るうえでの注目点です。
公式発表:ネットスターズ PR TIMES

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