
渋谷のカフェで2月24日から一般客を対象に実施
デジタルガレージは2026年2月19日、JCB、りそなホールディングスとともに、ステーブルコインを使った実店舗決済の実証実験を行うと発表しました。マイナウォレットと連携し、米ドル建ての「USDC」と日本円建ての「JPYC」で支払いから店舗への精算までを検証します。会場は東京都渋谷区の「Pangaea Cafe & Bar」で、2月24日から3月2日までの平日14時以降、一般の来店客を対象に実施する予定です。
3社は1月16日に協業を発表し、ステーブルコインを国内の決済手段として利用するための交換・精算・収納などの取引プロセスを整理する方針を示していました。渋谷での実証は、この協業を店頭での検証に移す最初の取り組みです。ウォレットから資産を送れることに加え、店舗が売上を受け取るまでの業務を含めて運用上の課題を探ります。
国内では、日本空港ビルデングとネットスターズが1月26日から羽田空港第3ターミナルの2店舗でUSDC決済の実証を始めるなど、店頭利用を試す動きが続いています。渋谷の実証は、円建てと米ドル建てのステーブルコインを同じ店舗で扱い、決済事業者と金融グループが精算業務まで共同で検討する事例として位置付けられます。
USDCとJPYCで異なるチェーン・ウォレットを使用
対象となるUSDCはBaseチェーン上、JPYCはPolygon上のものです。デジタルガレージの発表では、USDCの支払いに「Base App」、JPYCの支払いに「マイナウォレット」を利用するとしています。同じステーブルコイン決済でも、資産とネットワーク、ウォレットの組み合わせが異なるため、それぞれの支払い手順を来店客が迷わず操作できるかが実用面の論点になります。
決済用のインターフェースは、マイナウォレットが提供する「マイナペイ」です。店舗側には金額入力やQRコード表示、決済受け入れの機能を用意し、利用者側にはウォレットの選択・接続を行う画面を実装します。利用者が店舗側のQRコードを読み取り、自身のウォレットから支払う流れを、対面の会計環境で検証します。
マイナウォレットは、マイナンバーカードと公的個人認証サービスを活用したセルフカストディ型のデジタルウォレットです。利用者が資産を自ら管理する構造を採りつつ、複雑な鍵管理や取引手数料の操作を意識させない利用体験を目指しています。自己管理という仕組みと、日常の支払いで求められる操作の簡単さをどう両立させるかも、実店舗で確かめる意義があります。
店舗の円受け取りまでを一つの決済業務として検証
店舗側は、最終的に売上を日本円で受け取るモデルを想定しています。利用者がステーブルコインで支払っても、店舗が日々の売上や仕入れ代金を円で管理できるようにする設計です。3社の協業では、ブロックチェーン上の処理に続く円貨への換算や加盟店精算も検討対象に含まれており、支払い後の業務まで接続することが課題となります。
そのため、検証を評価する際には、ウォレット上で送金が完了するまでの速さと、店舗が売上を利用できる状態になるまでの時間を分けて見る必要があります。ブロックチェーン上の処理が速くても、換算や精算に手間がかかれば、店舗の資金繰りや事務負担を改善する効果は限られます。利用者が会計を終えるまでの分かりやすさと、店舗側の入金管理を両方確かめる実証です。
各社の役割は、この業務のつながりに沿って分かれています。デジタルガレージはWeb3や暗号資産交換業の知見を提供しながら全体の企画・統括・調整を担い、JCBは加盟店決済と精算スキームを検討します。りそなHDは金融機関として事業化を検討し、マイナウォレットは店頭と利用者をつなぐ決済画面を提供します。技術、加盟店業務、金融実務を組み合わせ、継続的に運用できる決済モデルを探る体制です。
通貨とネットワークの違いを店頭でどう吸収するか
円建てのJPYCと米ドル建てのUSDCを扱うことで、利用者が保有する資産に応じた支払いを検証できます。ただし、USDCの円換算価値にはドル円相場が関わるため、円で表示された会計金額と支払いに使う資産の関係を、画面上で分かりやすく示すことが重要になります。異なる通貨やネットワークを扱う利便性を、会計時の複雑さにつなげない工夫が求められます。
マイナウォレットの橘博之代表は、今回の取り組みを日常の業務や生活で使われる決済基盤へ進める一歩と位置付けています。3社も1月の協業発表で、訪日客の両替負担軽減や加盟店の資金繰り改善などへの期待を示していました。こうした効果を実際の利用につなげるには、保有資産の選択から支払い完了、円での売上受け取りまでを途切れなく運用できることが前提になります。
参画各社は、実証で得た技術面・運用面のデータを分析し、日本市場に合ったビジネスモデルの検討を進める方針です。今後の焦点は、異なるウォレットからの支払いを受け入れながら、会計時の案内と精算後の売上管理を店舗の日常業務にどう組み込むかにあります。来店客と店舗の双方に追加の負担をかけずに使える仕組みへ近づけられるかが、導入拡大を左右すると考えられます。
公式発表:デジタルガレージ

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