WEB3業界動向

Slash Card、日本で発行開始 USDCを決済原資にVisa加盟店で利用可能

サムネ


事前申込者への発行を開始、一般受付は8月予定

SLASH VISION、アイキタス、オリエントコーポレーション(オリコ)の3社は2026年4月20日、米ドル連動のステーブルコイン「USDC」を決済原資に利用できる「Slash Card」の国内発行を開始したと発表しました。国内外のVisa加盟店で通常のカードと同様に支払える仕組みで、保有するUSDCを日常の買い物に活用する接点が広がります。

発行に向けた提携は2025年2月13日に発表され、当時はUSDCを担保とする後払い型決済の構想が示されていました。その後、同年6月から事前申し込みを受け付け、今回の発行開始につながっています。ブロックチェーン上の資産と既存のカード決済網を接続する計画が、利用者へのカード発行に進んだ節目となります。

まずは事前申込者に対して順次発行手続きを進め、一般向けの申し込み受付は2026年8月をめどに始める予定です。発行開始と一般受付には時期の違いがあり、利用を検討する人にとっては、申し込み区分に応じた案内が重要になります。3社は、今後の発行と機能拡充を通じてステーブルコインの買い物での活用を促す方針です。


利用者はUSDCを活用、加盟店は法定通貨を受領

Slash Cardでは、利用者が保有するUSDCをもとに決済が処理される一方、加盟店への支払いは日本円などの法定通貨で行われます。3社が説明する「交換手続き不要」とは、利用者が決済の都度、自らUSDCを法定通貨に交換する手間を省けるという意味です。利用者側の資産と加盟店側の受取通貨をつなぐ処理を、カードサービスの仕組みに組み込んでいます。

この設計は、店舗がUSDCを直接受け取る方式とは導入の経路が異なります。利用者は既存のVisa加盟店網を通じて支払えるため、店舗ごとにステーブルコイン対応が広がるのを待つ必要を減らせます。加盟店には従来のカード決済と同様に法定通貨で支払われることから、受け取ったUSDCの保管や円への換金を店舗側で行う負担も抑えられると考えられます。

ただし、USDCが価値の連動を目指す対象は米ドルです。円で値付けされた商品を購入する際の経済的な負担には、ドルと円の為替関係も影響します。例えば、他の条件が同じなら円高では同じUSDC残高の円換算価値が小さくなるため、買える商品の範囲も変わります。操作の簡便さと、保有資産の円換算価値の変動は分けて捉える必要があります。


開発・発行・国際ブランド対応を3社で分担

運営面では、Slash Visionがプログラムマネージャー兼ブランド提供者としてカードの開発・運営を担い、アイキタスがカード発行者として顧客管理とシステム運営を担当します。オリコはBINスポンサーとして国際ブランド対応を担います。利用者からは一枚のカードとして見えるサービスを、デジタル資産を扱う仕組み、カード発行、国際ブランドとの接続という役割に分けて支える体制です。

この分担は、Web3の決済技術を既存の金融サービスとして運用するうえで重要です。USDCを扱える技術があっても、カード利用者の管理や加盟店網への接続を含めて継続的に運営する仕組みが必要となります。3社の協業は、それぞれの専門領域を組み合わせ、ステーブルコインの利用を既存の決済網に載せる取り組みと位置付けられます。

3社は安全面について、厳格な本人確認や取引モニタリングを含むAML対策を実施し、割賦販売法や犯罪収益移転防止法などの関連法令に準拠するとしています。利便性を高めながら、不正な資金移動を防ぎ、カードサービスとして利用者を管理する方針です。日常決済への展開では、支払い操作の分かりやすさと、不正利用に対応する運営の両立が求められます。


円建てカードの先行例に続く米ドル資産の活用

国内では、HashPortとナッジが2025年11月21日に「HashPortカード」の発行を開始し、当初は利用代金の円建てステーブルコイン「JPYC」による支払いと、JPYCでの還元に対応していました。ステーブルコインとカードを組み合わせる試みには先行例があり、Slash Cardは米ドル連動のUSDCを決済原資にする形で、利用の選択肢を広げます。

両者を比べる際には、円に連動する資産と米ドルに連動する資産という違いが重要になります。USDCをすでに保有している利用者にとって、カードで買い物に使える経路が加われば、デジタル資産の利用先を探す負担の軽減につながり得ます。一方、円で収入を得て円で生活費を支払う人には、資産の準備や為替を含めた使い勝手が選択を左右すると考えられます。

一般受付への移行に向けては、USDCを決済に充てるまでの手順や利用履歴の把握、問い合わせへの対応が、継続利用を左右するポイントになります。Visa加盟店で使える範囲の広さを、利用者が迷わず支払える体験へどう結び付けるか。発行後の運用と機能拡充を通じ、ステーブルコインが保有・送金の用途から日常の支払いへどこまで定着するかが、次の注目点です。


公式発表:オリコ PR TIMES

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