
開発・流通・法務の実務者が資産取引への活用を議論
一般社団法人日本セキュリティトークン協会(JSTA)は11月2日、ステーブルコインとトークン化資産の連携をテーマとするセミナーを11月24日に東京都中央区で開催すると発表しました。資産の引き渡しと代金の支払いを連動させるDvP決済や取引の自動化、国境をまたぐ送金などを取り上げます。
登壇するのは、Startale Japan代表取締役CEOの手塚孝氏、SBI VCトレード代表取締役社長の近藤智彦氏、TMI総合法律事務所パートナー弁護士の市古裕太氏で、JSTA代表理事の増田剛氏がモデレーターを務めます。開催時間は午後7時から9時まで、参加費は無料で、イベント登録ページから申し込む承認制です。
国内では10月、セキュリティトークン(ST)の売買決済に関する実証結果や、円建てステーブルコインを社債の利払い・償還に使う計画が公表されました。資産と決済手段をブロックチェーン上で接続する取り組みが進む中、今回のセミナーは、各社の事業戦略と実務上の課題を併せて議論する場となります。
資産のトークン化後も残る受け渡しリスク
ST取引では、資産をブロックチェーン上で発行した後も、代金決済と受け渡しをどう連動させるかが課題になります。三井住友銀行や証券会社などが進める「Project Trinity」の公表資料によると、国内のST二次流通では、証券会社間の資金決済とSTの受け渡しが必ずしも同時に行われていません。このため、一方が支払いや引き渡しを済ませても相手から受け取れない「元本リスク」が生じます。
この課題に対し、同プロジェクトは2025年8月に開始を公表し、2026年10月6日にフェーズ2までの実証完了を発表しました。SBI証券と大和証券の間で、実証用のST社債と三井住友銀行が発行する信託型ステーブルコインを使い、双方の受け渡しを連動させるDvP決済の業務運用を検証しています。
当面の実装目標は、約定から2営業日後に決済する「T+2」のDvPで、約定後の即時決済は将来像として位置付けています。この段階的な進め方は、ステーブルコインによる決済を評価するうえで、処理速度に加え、取引の安全性と既存業務への適合性が重要であることを示しています。
社債の支払いとMMF連携で異なる活用方法
登壇企業のスターテイルグループとSBI VCトレードは、円建てステーブルコイン「JPYSC」の技術開発と流通に関わっています。SBI新生信託銀行が発行を担い、2026年6月24日にSBI VCトレードの口座内限定で先行提供が始まりました。法務の立場で参加する市古氏は、金融庁で電子決済手段に関する法令改正の立案に携わり、現在は事業者の登録支援や法的助言を行っています。
JPYSCの活用例として、Startale Japanは10月6日、利息と償還金を同コインで支払う個人向けデジタル社債「ステーブルコイン普及債」の募集を開始しました。募集金額は9,990万円、期間は1年で、12月1日の発行を予定しています。投資家は「Startale App」で利息と元本を受け取る設計であり、証券会社間の売買決済とは用途が異なる、発行企業から投資家への支払いに組み込む取り組みです。
さらに10月27日には、SBIホールディングスとStartale Groupが、ブラックロックとの間でトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)とJPYSCの連携に向けた基本合意書を締結したと発表しました。技術・インフラ、事業・販売、規制・市場整備の3領域で連携可能性を検討する方針です。社債の利払い・償還への活用と並び、運用商品と円建ての決済手段を結び付ける事業基盤の検討も進んでいます。
実用化には例外処理と複数基盤への対応が必要
用途が広がるほど、商品ごとの資金管理や決済手順に対応する業務設計が重要になります。Project Trinityでは、ステーブルコインの購入・償還に加え、決済資金の不足や取引情報の照合不一致への対応も検証しました。そのうえで、複数の取引やST基盤、決済手段が混在する環境で、決められた時限内に安定して処理する体制や業務アプリケーションの整備を課題に挙げています。
これらの事例から、実用化の進展を測る際には、対応商品の広がりとともに、資金の準備から受け渡し、例外処理までを一貫して運用できるかを確認する必要があると考えられます。JSTAも既存金融システムとの接続や利用者・事業者への普及を開催趣旨に掲げており、11月24日の議論では、各社の経験を通じて導入に必要な条件がどこまで具体化されるかが確認点となります。
公式発表:JSTA PR TIMES

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