
コード決済の拡充と資金調達支援を発表
決済・金融インフラを提供するStripeは2026年9月30日、d払い、au PAY、楽天ペイ、メルペイ、AEON Payのオンライン決済に対応する先行提供版と、事業資金の調達を支援する「Stripe Capital」の日本展開を発表した。Capitalは三井住友カードをパートナーに、2027年初旬から提供する予定だ。国内の支払い方法を増やす取り組みと、加盟店の売上に連動して資金を回収するサービスを、日本市場向けに展開する。
日本でのサービス開始から10周年を迎えた同社が、都内の「Stripe Tour Tokyo 2026」で公表した。新たなコード決済5種類は利用希望フォームから申し込む先行提供版で、既存のPayPayと合わせて受け付けられるようになる。オンライン決済から対応を始め、対面決済サービス「Stripe Terminal」へも順次広げる計画だ。
PayPayから複数ブランドへ、利用者の選択に対応
Stripeが日本発のコード決済を初めて導入したのは、2025年4月に発表したPayPay対応だった。Impress Watchの当時の報道では、日本法人共同代表のダニエル・ヘフェルナン氏がPayPayへの要望の多さを説明し、他のコード決済については顧客の意見や重要性を踏まえて判断するとしていた。約1年半を経て5種類を追加する動きは、国内向けの決済基盤を複数ブランドへ広げるものだ。
その背景には、コード決済が日常的な支払い方法として定着した市場がある。経済産業省の算定では、2025年のコード決済額は16.6兆円で、キャッシュレス決済額の10.2%を占めた。インフキュリオンが全国の16〜69歳男女2万人を対象に実施した「決済動向2026年調査」でも、利用率は71%に達している。同調査では前年比1ポイント低下したものの、既存利用者に利用頻度の変化を尋ねると、増えたと答えた割合が最も大きかったのはコード決済だった。
この利用状況からは、コード決済を使う顧客がすでに広く存在し、その支払い習慣を加盟店側がどう受け止めるかという課題が見えてくる。Stripeへの集約はブランドごとの導入・運用負担を抑える選択肢になるが、購入への効果は顧客層や商品によって変わる。今回の拡充は、加盟店が自社の顧客に合った決済手段を選び、購入画面に組み込める範囲を広げる対応と位置付けられる。

Capitalで決済実績を資金調達への接点に
決済を受け付けた後の事業運営に踏み込むのがCapitalだ。対象事業者にはメールやダッシュボードで個別に案内し、オンラインで手続きを完結させる仕組みで、Stripeは煩雑な書類手続きや長期間の審査待ちを抑えると説明している。申請時に示す固定手数料を採用し、調達後は日々の売上の一定割合を自動的に差し引いて資金を回収する。
海外向けの公式説明では、Stripe上の決済額や利用履歴などに基づいてCapitalの利用資格を判断するとしている。決済処理で蓄積した事業実績を資金提供に活用し、回収まで売上に組み込む設計だ。こうした仕組みは、加盟店との接点を支払いの処理から事業資金の供給へ広げる戦略と読み取れる。
売上に連動する回収方式では、売上が少ない日の支払い額も小さくなる一方、その後に受け取る売上の一部を継続して回収に充てる。したがって、調達時の手続きの簡便さとともに、固定手数料や回収割合が事業の利益率に見合うかが重要になる。季節変動のある販売や、仕入れを先行させる事業でどの程度活用されるかが、日本展開後の焦点だ。
店頭とオンラインをつなぎ、費用の内訳も可視化
決済の受け付けを広げる取り組みでは、2025年9月に日本で提供を始めたTerminalに、対応するNFC搭載Android端末でタッチ決済を受け付ける「Tap to Pay on Android」と、顧客向けディスプレイを備えた据え置き型端末「Stripe Reader T600」を追加した。事業者は販売場所に合った機器を選びながら、店頭とオンラインの決済を共通基盤で管理できる。国内コード決済のTerminal対応も、今後順次進める計画だ。
こうした受け付け方法の拡大と並行し、カード決済の基盤費用とStripeの利用手数料を分けて示すコストプラス料金体系も日本に導入する。経済産業省は以前から、キャッシュレス導入に伴う加盟店の手数料負担や入金サイクルを課題として扱ってきた。対応する決済が増えるほど、加盟店には購入機会の拡大と運用費用を合わせて考える必要があり、費用の内訳を確認できる仕組みはその検討を支える。
日本向けの拡張で問われるのは、使い慣れた決済を受け付ける利便性を、加盟店の収益や次の投資につなげられるかだ。購入完了率や決済管理の負担に加え、Capitalで確保した資金が仕入れや事業拡大にどう使われるかを見ることで、Stripeが国内の事業者に提供する価値がより具体的になる。
公式発表:Stripe

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