
Unifiを入り口にグローバル取引を展開
Web3プラットフォーム事業を手がけるLINE NEXT Inc.は7月22日、ゲームアイテム取引プラットフォーム「NEXT Bay」のグローバル提供を開始したと発表した。ユーザーは同社のWeb3サービス「Unifi」のアカウントで登録し、対応ゲームのアイテムを売買できる。英語、韓国語、日本語、繁体字中国語、タイ語、インドネシア語の6言語に対応する。
プラットフォームにはユーザー間の取引機能に加え、ゲーム開発元がアイテムを直接販売する「Official Web Shop」も設けた。個人間売買と運営側による公式販売を同じサービス内に配置し、ゲームごとに分散していたアイテム流通を一つの取引基盤へ集める構成だ。
LINE NEXTは2026年3月、ステーブルコインの保管や送金、決済、リワードを扱うUnifiをグローバル公開した。Dapp PortalやMini Dappsも同サービスへ統合しており、NEXT Bayの追加によって、Unifiを金融機能に加えてゲーム内経済へ接続する動きが鮮明になった。
個別ゲームで得た実績を横断型市場へ拡張
LINE NEXTはゲームアイテム取引へ新たに参入した企業ではない。2025年には、SmilegateのMMORPG『LORDNINE』向けにC2Cアイテム取引サービス「NEXT Market」を展開し、開始から1カ月で累計取引額1,500万ドルを記録したと発表した。利用地域は35カ国・地域に広がり、越境取引は20万件を超えたという。
NEXT Marketが一つのゲームに合わせて構築された取引市場だったのに対し、NEXT Bayは複数の人気タイトルを扱うグローバルプラットフォームとして打ち出された。個別タイトルで確認した取引需要を横断型サービスへ移し、ゲーム会社ごとに取引システムを構築する負担を減らす狙いがうかがえる。
ゲーム会社にとって、公式ウェブショップはアイテムの販売経路を増やす機能を持つ。一方、ユーザー間取引が活発になれば、入手したアイテムを再び流通させる選択肢が生まれ、ゲーム内経済の滞留を抑える効果も期待される。ただし、流通量の増加がゲームバランスやアイテム価格へ及ぼす影響はタイトルごとに異なるため、開発元による管理とルール設計が欠かせない。

エスクローは越境取引の入り口を支える
ゲームアイテムの個人間売買では、購入者が代金を支払った後にアイテムを受け取れるか、出品者が引き渡し後に決済を受けられるかという双方の不安が生じる。NEXT Bayは出品者と購入者の間に検証済みの決済構造を置くエスクロー型の取引システムを採用し、取引相手を直接信用しなくても売買を進めやすい環境を整える。
6言語への対応も、国境を越える取引の入り口を広げる要素になる。LINE NEXTのコ・ヨンスCEOは、言語の壁と複雑な決済プロセスをグローバルなゲームアイテム取引の障壁に挙げ、安全で継ぎ目の少ない取引環境の構築を目指すと説明した。
ただし、エスクローを導入すれば、すべての取引上の問題が解消するわけではない。アイテムの取引可否は各タイトルの利用規約や運営方針に左右され、アカウント停止、価格操作、不正取得アイテムの流通といった問題への対応も必要になる。NEXT Bayがゲーム開発元による公式販売を併設した背景には、非公式な市場へ流れていた需要を管理可能な環境へ取り込みたい意図もあるとみられる。
取扱タイトルと継続利用が成否を分ける
正式提供に合わせ、LINE NEXTは1カ月限定で購入手数料を0%とし、取引金額の最大2%を還元するキャンペーンを始めた。初期段階で購入者を呼び込み、出品と購入の循環を立ち上げる施策と考えられる。マーケットプレイスは商品数と利用者数が互いに影響するため、取引開始直後に一定の流動性を確保できるかが重要になる。
発表時点では、対応タイトルの全容、取扱アイテム数、通常時の手数料体系、取引規模の目標は明らかにされていない。発表直後の二次報道もローンチ内容の紹介が中心で、ゲーム会社やユーザーから広範な反応が出る段階には達していない。
NEXT Bayの評価を左右するのは、Unifiアカウントで登録できる手軽さ以上に、継続して売買したくなるタイトルとアイテムを確保できるかどうかだ。NEXT Marketで得た取引実績を複数ゲームへ再現し、公式販売と二次流通を両立できれば、LINE NEXTはUnifiをゲーム経済の決済・取引基盤へ押し上げる可能性がある。

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