
「しなにゃん」の収集を通じて品川の街を探索
映像・Web制作やキャラクター開発を手がけるエヌフォースは2026年9月29日、Roblox向け探索ゲーム「しなにゃんを探せ!しながわ大冒険!」を10月1日から無料公開すると発表した。品川区の観光スポットを再現した仮想空間に、実際の水族館や地域イベントと連動する特典を組み合わせ、ゲームをきっかけとした来訪を促す。
舞台となる「バーチャル品川区」には、しながわ水族館、戸越銀座商店街、TOCビルなどが登場し、プレイヤーは街に隠れた、しながわ観光協会のキャラクター「しなにゃん」全19体を探す。発見したしなにゃんは、参加時に発行される専用のデジタルパスポートへ収集される仕組みで、コレクションを進めるために街を巡るうちに、区内の建物や景観に触れられる。観光地への関心が先にある人に加え、キャラクター探しを楽しみたい人にも地域を知る入口を設けた形だ。
共同開発には、RobloxやXR、3Dコンテンツ制作を行うmodeginationが参加し、品川区文化観光戦略課やしながわ観光協会も街歩きや将来の来訪につながることへの期待を寄せている。地域の観光資源をゲームとして届ける企業と、現地への訪問を促したい地域側が連携し、その接点を水族館や祭りでの企画へ広げる。

現地で見つけたキーワードが、ゲーム内の報酬に
現地との連動は、施設やイベント会場に設置されたキーワードをゲーム内で入力し、限定のバーチャルアイテムを獲得する方式だ。ゲーム公開と同時に始まるしながわ水族館との企画は10月1日から15日まで実施され、期間中の入館者には開館35周年の記念ステッカーも数量限定で配布する。仮想空間で知った施設を訪ね、その体験をゲーム内の報酬として持ち帰れる流れを用意した。
続く10月4日には、五反田の地域イベント「ゴタンダデシタンダ‼」でも同様のキーワード企画を行い、当日の来場参加者に数量限定のステッカーを配布する。同イベントは雉子神社例大祭の時期に合わせて開かれ、学研本社ビルの芝生広場やTOCビルなど複数の会場で、スタンプラリーやワークショップ、屋台などを予定している。ゲームに登場する建物が現実の催しの会場にもなることで、画面上で覚えた場所を街歩きの中で見つける機会にもなる。両企画のステッカーは、なくなり次第配布を終了する。
施設名を紹介するだけでは、興味を持った人が訪問の時期まで決めるとは限らない。その点、期間限定の特典を水族館や祭りに結びつけた設計は、場所への関心に「いつ行くか」を選ぶ理由も加えている。子どもがゲームで抱いた興味を、保護者が家族の外出先を決めるきっかけへつなげられる可能性がある。

国内利用の拡大が、地域PRの接点を広げる
こうした地域PRの場としてRobloxが選ばれる背景には、国内でも利用が拡大していることがある。同社の2026年第2四半期決算資料によると、世界の平均デイリーアクティブユーザー数は1億2,300万人で、日本の同指標は前年同期比67%、利用時間は61%増加した。ゲームを日常的に楽しむ利用者との接点が広がる中、地域の情報を遊びの中へ組み込む取り組みにも意味が生まれている。
観光サイトでは、行き先や施設について調べようとする人への情報提供が中心になるのに対し、ゲームは旅行先を探していない人にも地域と出会うきっかけをつくれる。品川の企画でキャラクターの収集を軸に据えたことも、観光案内を読む動機が薄い利用者に、街を探索する目的を与える工夫と捉えられる。ただし、利用者の多いプラットフォームに公開すれば、地域への来訪まで自然につながるわけではない。
その可能性と課題を考える先行例が、群馬県館林市とクリーク・アンド・リバー社による観光活性化事業だ。2024年12月に公開した「たてばやしjumpingオビー!」は、観光スポットを題材にした障害物コースを進んでマスコットを救出するゲームで、同社によると約3カ月で4,000人以上がプレイした。2025年3月には、市内のつつじ映像学習館でクリアタイムを競うイベントも開かれ、オンラインでの公開と現地施設での体験を組み合わせている。

ゲームへの反響を、実際の来訪へどうつなぐか
館林市の事業ではゲームへの好意的な反応が得られたものの、観光行動へつなげる難しさも残った。事業の推進に携わった西城隼人氏は、クリーク・アンド・リバー社が2025年4月に公開したインタビューで、地元の小学生から好評を得たと振り返りつつ、広く話題を集めて実際の観光を促す段階には課題があったという認識を示した。新しいゲームが次々に生まれるRobloxで、注目を集める難しさにも言及している。
この振り返りからは、仮想空間の制作に加え、利用者が作品を知り、遊び続け、現地へ向かうまでの運営が重要になると読み取れる。品川の企画は、公開直後から訪問先と特典を具体的に示し、ゲームへの参加と外出の機会を近づけた点に意義がある。その先で地域への継続的な関心を育てるには、特典を受け取った後に、施設の展示や祭りそのものを楽しんでもらうことも重要になる。
10月1日の公開に続き、最初の週末には五反田のイベントとの連動が控える。今後の注目点は、ゲームをきっかけに訪れた人が周辺の店や別の観光スポットにも足を延ばし、街全体への関心を深めるかだ。現地での発見が次の訪問先を選ぶ理由になれば、ゲームを入口にした地域PRは、一度の来場から継続的な街歩きへとつながる可能性がある。
公式発表:エヌフォース PR TIMES

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