
衝撃的な生命の旅と、静かな森を進む配達人
東京ゲームショウ2026のインディーゲームエリアには、大規模タイトルとは異なる発想や表現で来場者を引き付ける作品が並んでいた。なかでも強烈な印象を残したのが、チェコの開発者Valentin Wirth氏によるアドベンチャーゲーム『Become』だ。

プレイヤーは何百万もの精子の一つとなり、酸性の液体や免疫細胞を避けながら、生殖器官をイメージした世界を進んでいく。糖やタンパク質を集めて進化する仕組みもあり、生命の始まりをゲームとして描くコンセプトは、会場で目にしたインディー作品のなかでも特に衝撃的だった。PC向けに2026年後半の発売を予定している。

洞窟ペンギンクラブが手掛ける『A Tiny Wander』では、小さな旅人「ぶぅ」が荷物を届けるため、夜の「帰らずの森」を進む。ランタンの明かりを頼りに周囲を観察し、人々との会話を重ねながら道を探す構成には、孤独な配達と旅を描く『DEATH STRANDING』を連想させる部分もあった。物語のスケールは小さいものの、暗い森と温かな光が生み出す独特の空気に引き込まれる。

サイバー渋谷の寿司店と、Joy-Conで操るオーケストラ
『SHIBUYA SUSHI MASTER』の舞台は、海に沈んだ2600年代の渋谷だ。プレイヤーは屋形船の寿司店を営み、人間やアンドロイド、宇宙人など個性豊かな客へ寿司を提供する。

2Dドットで描かれたネオン街にはレトロゲームとサイバーパンクが混ざり合い、『Dave the Diver』の寿司店経営パートを一つの作品へ広げたような印象を受けた。


寿司のネタや提供方法、ワサビの有無といった選択が物語にも影響するため、店舗運営の雰囲気を持ちながら、客との交流を軸に展開するアドベンチャーとして作られている。奇抜な舞台設定と親しみやすいドット絵の組み合わせは、短時間眺めているだけでも先の展開が気になるものだった。

雰囲気が大きく変わる『Maestro』では、プレイヤー自身がオーケストラの指揮者になる。Nintendo Switch 2版はJoy-Con 2のモーション操作に対応し、テンポを刻みながら演奏の開始や楽器ごとの合図を送る。

指揮という題材を直感的な操作へ落とし込んでおり、プレイする人はもちろん、周囲で見ている人も演奏の変化を楽しめる。操作も分かりやすく、家族や友人が集まる場で盛り上がりそうな一本だ。

『Maestro』Nintendo Switch 2版公式ページ
手描きの捜索劇と、音楽で変化する舞台
『Finding Polka』は、行方不明になった犬のポルカを探して街を歩くアドベンチャーゲームだ。

ボールペンで描いたような独特のアートと、ゆったりした雰囲気が目を引く一方、道中にはハイタッチで友達を作る要素やミニゲームも用意されている。会話に頼らず、表情や動きから物語を読み取る作りによって、かわいらしい見た目の中にしっかりとした遊びが組み込まれていた。

『Finding Polka』Steam公式ページ
https://store.steampowered.com/app/4161140/Finding_Polka/
韓国のQueseraGamesが開発する『Nientum — Op.ZERO』は、2D横スクロールアクションとリズムゲームを融合した作品だ。記憶を失った少女たちが不思議な劇場を進み、音楽に合わせた操作で舞台そのものを変化させていく。描き込まれたイラストや演出の完成度も高く、リズムに乗って敵や障害を乗り越える仕組みが作品世界と自然に結び付いていた。


生命誕生、配達、寿司店経営、指揮、犬探し、リズムアクションと、今回取り上げた6作品に共通の型はない。だからこそ、作り手の発想がそのまま遊びへ変わるインディーゲームの面白さが伝わってくる。会場で偶然足を止めた作品が、発売後にじっくり遊びたい一本へ変わる――そんな予想外の出会いも、TGSのインディーゲームエリアならではの魅力だ。

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