
新規注文や入金を停止、2027年1月に運営終了
暗号資産取引所BitMart(ビットマート)は7月26日、取引プラットフォームの運営を段階的に終了すると発表しました。事業運営の状況や市場環境、今後の戦略を総合的に評価した結果としており、新規ユーザー登録や入金、新規注文の受け付けを停止した後、8月26日にすべての取引サービスを終了し、2027年1月末にプラットフォームの運営を正式に終える計画です。
BitMartは7月26日1時30分(UTC、日本時間同日10時30分)から、新規登録と暗号資産・法定通貨の入金を順次停止しました。先物口座はポジションの縮小や決済のみが可能な「Reduce-Only」モードへ移行し、新規建玉を制限しています。現物取引でも新規注文の受け付けを終了したほか、コピー取引やグリッド取引、API取引などの自動売買サービスも段階的に停止し、未約定注文は利用者自身またはシステムによって取り消されます。
8月26日1時(UTC、日本時間同日10時)には、現物と先物を含むすべての取引サービスを停止します。Earnやステーキング、レンディング、Launchpadなどの関連商品も、それぞれのスケジュールに沿って終了する予定です。未決済の先物ポジションが残っている場合は、適用される価格や決済ルールに基づいて処理される可能性があり、具体的な方法は対象利用者へ別途案内されます。
出金申請を早期に推奨、追加審査や詐欺にも注意
出金サービスは運営終了の手続き中も継続されますが、BitMartは利用者に対し、8月26日1時(UTC)までに本人確認とポジション整理を終え、同日5時(UTC、日本時間14時)までに出金申請を提出するよう強く推奨しています。入金停止後に送付された資産は口座へ自動反映されない可能性があるため、追加の入金を行わないよう呼びかけました。
出金申請では、本人確認情報やログイン環境、出金先アドレス、資金の出所、取引履歴などが追加審査の対象になる場合があります。トラベルルールや制裁対象者の確認、ブロックチェーンネットワークの混雑によって処理時間が延びる可能性もあり、申請を提出した時点で資産の送付が完了するとは限りません。推奨期間を過ぎた申請は専用の手続きへ移され、必要書類や処理方法が個別に案内されます。
同社は、サービス終了に便乗した詐欺にも注意を促しています。TelegramやWhatsApp、WeChat、個人のSNSアカウントを通じて優先処理料や口座凍結解除料、保証金を求めることはなく、パスワードや認証コード、秘密鍵、リカバリーフレーズを尋ねることもないと説明しました。利用者には、公式サイトやアプリ、登録済みメール、公式サポートから届く案内のみを確認するよう求めています。
CEOは閉鎖決定への関与を否定、BMXは約58%下落
運営終了の発表後には、経営体制を巡る動きも注目を集めました。グローバルCEOを務めていたNenter Chow氏は、自身のXを通じて、7月24日に会社から職務終了を通知され、その後は経営や意思決定に関与していなかったと説明しています。閉鎖計画についても事前に相談や通知を受けず、公式発表を通じて初めて知ったと主張しました。
経営トップを務めていた人物が閉鎖決定への関与を否定したことで、発表までの意思決定過程にも関心が集まっています。ただし、BitMartはChow氏の発言に対する見解や、閉鎖を決めた具体的な経緯を公表しておらず、公式には事業状況、市場環境、将来戦略を評価した結果との説明にとどめています。
市場では、取引所の独自トークン「BMX」が発表後24時間で約58%下落しました。取引所内の手数料優遇や各種サービスと結び付いてきたトークンだけに、プラットフォーム終了後の用途が明らかになっていないことも価格の重しになったとみられます。一方、価格下落と閉鎖判断の因果関係や、売却した投資家の意図までは確認できないため、市場がサービス終了を警戒した動きとして捉えるのが適切です。
BitMEXに続く閉鎖、取引所の競争環境にも焦点
暗号資産取引所を巡っては、BitMEXも7月23日、戦略的な事業見直しを経て、9月23日4時(UTC)に取引所サービスを終了すると発表しました。BitMEXは新規登録を停止し、利用者へ閉鎖時刻までのポジション解消と資産出金を求めており、BitMartの発表はその数日後に続いた形です。
両社が示した理由や経営状況は異なるため、共通の原因による閉鎖と判断することはできません。それでも、長年にわたり国際市場でサービスを提供してきた取引所が短期間に相次いで撤退を決めた事実は、取引所事業の収益性や競争環境を考えるうえで見過ごせない動きです。取引量や顧客が一部の大手事業者へ集まりやすい市場構造に加え、各国・地域で求められる本人確認や資金洗浄対策、利用者保護への対応も、継続的な運営体制を必要とします。
BitMartは約9年間にわたる取引所運営を終えることになりますが、閉鎖理由の詳細やBMXの今後の扱いなど、利用者や市場が確認したい情報は残されています。今後は出金手続きが円滑に進むか、運用商品や未決済ポジションが予定通り処理されるかに加え、BitMEXとBitMartに続く撤退が広がるのかが、暗号資産取引所市場の変化を見極める焦点となりそうです。
公式発表:BitMart

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