WEB3業界動向

HashPort WalletがKaiaに対応 JPYC・USDTの送受信から国内店舗決済への接続を探る

サムネ


万博後の利用基盤にKaiaを追加

Kaiaの日本語公式Xは2026年9月17日、HashPortが提供するノンカストディアル型Web3ウォレット「HashPort Wallet」がKaiaネットワークに対応したと発表しました。これにより、利用者はKaia上のKAIA、JPYC、USDT、USDC.eを同一のウォレットで確認し、送受信できるようになりました。

同日付で公開されたApp Storeのバージョン3.20.1の更新履歴にも、Kaiaチェーンの追加と4資産への対応が記載されています。JPYCとUSDTはKaia上で直接発行されるトークンであるのに対し、USDC.eは別のブロックチェーンから移転されたブリッジ資産です。名称が同じJPYCやUSDTであっても、他のチェーン上にある残高がKaiaへ自動的に統合される仕組みではないため、送金時にはネットワークの確認が必要です。

HashPort Walletは、大阪・関西万博の公式アプリ「EXPO2025デジタルウォレット」を引き継ぐ形で展開されているサービスです。App Storeの説明では100万人が利用した実績を掲げており、万博終了後はデジタル資産の管理に加え、ステーブルコインやポイント、決済サービスをつなぐウォレットとして機能を拡張しています。Kaiaへの対応は、既存の国内利用者が新たなウォレットを用意せずに、同ネットワーク上の資産へアクセスできる環境を整える動きといえます。


アジア圏の利用基盤と日本円建て資産が接続

Kaiaは、LINEのブロックチェーン事業から発展したFinschiaと、韓国Kakao系のKlaytnを統合して誕生したEVM互換ブロックチェーンです。LINE NEXTなどが展開するサービスとの連携を軸に、アジアの一般利用者をWeb3サービスへ取り込む構想を掲げています。

ステーブルコインの基盤整備も段階的に進んできました。Tetherは2025年5月、Kaia上でネイティブUSDTを発行し、LINEの「Mini Dapp」を含むエコシステムで利用できる環境を整えました。2026年5月にはJPYCが発行・償還の対象ネットワークにKaiaを追加し、日本円建てのJPYCをKaia上で直接流通させる基盤が形成されています。

こうした経緯を踏まえると、HashPort Walletへの実装は、すでにKaia上で発行されていた資産を国内利用者へ届ける流通面の整備と位置付けられます。ブロックチェーン上でトークンを発行しても、一般利用者が扱えるウォレットや分かりやすい送金経路がなければ、用途は取引所や一部のWeb3サービスに偏りがちです。万博を通じて形成された利用基盤とKaiaが接続したことで、JPYCやUSDTを送金、決済、アプリ内取引へ展開するための入口が広がりました。


約70万拠点の加盟店網との連携を検討

ウォレット対応に先立つ9月11日、Kaiaは決済事業者のネットスターズと、Kaia上のステーブルコインを店舗向け決済基盤「StarPay」および「Stablecoin Pay」へ接続するためのMOUを締結しました。ネットスターズによると、StarPayのネットワークは約70万拠点、導入企業は1万5,000社以上に上り、年間決済取扱高は2兆円を超えます。

ネットスターズは2026年7月、複数のブロックチェーン、ウォレット、ステーブルコインを店舗のPOSシステムにつなぐ「Stablecoin Pay」を開始しました。8月にはローソンのゲートシティ大崎アトリウム店で、USDC、USDT、JPYCを使った関係者向けの決済実証を実施しています。この実証はPolygon上のJPYCなどを対象としており、Kaiaとの接続についてはMOUに基づき、交換、流動性供給、円建て精算を含む運用方式が検討されます。


ウォレット内の資産を店舗決済へ

HashPort Walletへの対応とネットスターズとのMOUは別個の取り組みですが、前者が利用者側の入口、後者が店舗側の受け入れ基盤を担う点で相互に関係しています。店舗がステーブルコインを直接保有せず、日本円で売上金を受け取る仕組みが実現すれば、価格変動や秘密鍵管理を店舗側へ負わせずに導入できる可能性があります。

今後の焦点は、約70万拠点のうち実際にどの店舗がKaia上の資産を受け入れるのか、決済時の手数料や交換レート、返金処理を含む運用がどのように設計されるかです。HashPort Walletでの送受信開始によって利用者側の導線は整いましたが、日常的な決済手段として定着するには、加盟店での利用範囲と流動性、円への精算効率が問われます。ウォレット内の残高が実際の店舗取引へ結び付くかが、Kaiaと国内決済事業者による連携の次の注目点となります。


公式発表:Kaia 公式X

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