
Digital Assetとの協業で年内提供を目指す
セキュリティトークン(ST)関連の基盤を手掛けるBOOSTRYは2026年8月4日、米Digital Assetとオンチェーン金融およびデジタル資本市場の発展に向けて協業すると発表しました。協業の第一弾として、BOOSTRYが2026年内の提供開始を予定する法人向けマルチチェーンウォレットを共同で展開します。
新サービスは、金融機関や事業会社が複数のブロックチェーン上にあるデジタル資産を、社内の管理体制に沿って保有・管理するためのウォレットです。初期段階では、Digital Assetが開発を主導する金融市場向けブロックチェーン「Canton Network」への対応を軸に開発を進め、既存の金融システムや外部市場との接続も視野に入れます。
その後は、対応するブロックチェーンやデジタル資産、鍵管理方式を順次拡張する方針です。対象にはST、ステーブルコイン、暗号資産などを想定しており、BOOSTRYが提供する「E-Wallet」「E-Prime」「ibet for Fin」との連携も計画しています。
法人統制を組み込んだデジタル資産管理
Canton Networkは、異なる金融アプリケーションや資産、参加者を相互に接続するために設計されたブロックチェーンネットワークです。取引当事者の間で必要な情報を共有できる仕組みを備えており、金融機関が求めるプライバシーや規制対応を維持しながら、資産移転や決済を処理できる環境を提供します。
こうしたネットワークを法人業務で利用するには、資産の保管に加え、社内の承認や権限管理を取引プロセスへ組み込む必要があります。BOOSTRYが公開したウォレットの画面イメージには、ユーザー管理、取引申請、承認、監査ログなどの項目が示されており、担当者ごとの操作権限や複数人による承認、取引履歴の保存を前提とした構成が確認できます。
BOOSTRYはこれまで、金融機関向けのE-Walletを通じて、STの秘密鍵管理、ブロックチェーンへの取引送信、残高照合、証券基幹システムとの接続機能を提供してきました。今回の協業では、国内の証券業務で蓄積した運用ノウハウに、Digital Assetが持つCantonや金融取引のオンチェーン化に関する技術を組み合わせ、複数チェーン上の資産を法人の業務手続きに沿って扱える環境を整えます。
国内STのクロスボーダー取引を検証
BOOSTRYは2026年7月、SBI証券、大和証券、SBI Digital Markets、Penguin Securitiesと実施した国内STのクロスボーダー取引に関する実証結果を公表しました。実証では、ibet for Finで管理するSTをEthereumへ連携し、海外証券会社との店頭取引において、USDCを用いた証券と資金の同時受け渡し(DvP決済)を検証しています。
さらに、国境をまたぐ取引を実務で成立させるため、ガス代や秘密鍵の管理、BCP、コンティンジェンシープラン、日本とシンガポールの金融機関の役割分担、法務・税務上の論点も整理されました。ブロックチェーン上の資産移転に加え、法人内部の管理体制や障害発生時の対応まで検証対象とした点からも、海外流通に向けた課題が技術と運用の両面に及ぶことが分かります。
Canton接続で法人向け管理基盤を拡張
一方、国内ではCantonを担保取引に活用する取り組みも進んでいます。みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、日本証券クリアリング機構、Digital Assetは、日本国債の法的性質や既存の口座構造を維持しながら、24時間365日の担保取引やクロスボーダー取引に適用できるかを検証しています。
これらは新ウォレットとは別のプロジェクトですが、国内で管理されてきた証券や担保資産を、海外の金融機関、決済手段、ブロックチェーン基盤へ接続する方向性で共通しています。BOOSTRYがCanton対応ウォレットを既存サービスと連携できれば、資産の発行や保有者管理、移転、決済を法人の承認手続きと結び付けて運用できる範囲が広がります。
年内提供を予定する新ウォレットは、BOOSTRYの事業領域を国内STの発行・管理から、複数の資産とブロックチェーンを横断する法人向け管理へ広げる取り組みです。対応資産や接続サービス、導入企業が具体化すれば、同社は証券の発行基盤を提供する事業者から、既存の金融システムとオンチェーン取引を結ぶ運用基盤の提供者へ、事業範囲をさらに拡大することになります。
公式発表:NOMURA

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