
ホワイトハウスが倫理規定案を提示
米国で審議中の暗号資産市場構造法案「Digital Asset Market Clarity Act(CLARITY Act)」を巡り、ホワイトハウスが政府高官らの暗号資産を巡る利益相反に対応する倫理規定で合意し、その内容を一部の共和党上院議員へ伝えたと、米メディアが7月21日に報じました。トランプ大統領も合意案を承認したとされ、ホワイトハウスは上院審議を前進させるため、民主党側に受け入れを求めています。
一方、合意したとされる条文の全容は公開されておらず、民主党議員も詳しい内容を確認していないと伝えられています。規制対象となる政府関係者の範囲に加え、既存の暗号資産保有や家族の事業、関連収益、情報開示義務をどのように扱うかが示されなければ、合意案が超党派の支持につながるかは判断できません。倫理規定を巡る交渉は一歩進んだものの、実際の条文が民主党側の懸念に応えられるかが次の焦点となります。
市場構造法案を止めてきた利益相反問題
CLARITY Actは、デジタル資産の法的な分類を整理し、米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督範囲を明確にする法案です。取引所や仲介事業者の登録、情報開示、顧客資産の管理、不正行為の防止に関する規則を整え、規制当局ごとに異なってきた市場監督を統一する狙いがあります。ホワイトハウスの作業部会も、非証券型デジタル資産の現物市場をCFTCが監督できる制度の整備を議会に求めています。
しかし、上院協議では市場制度の設計と並び、大統領や連邦議員、その家族が暗号資産事業から利益を得る場合の利益相反が大きな障害となってきました。民主党のクリス・ヴァン・ホーレン上院議員は5月、政府高官らによるデジタル資産発行者やプラットフォームの所有、宣伝、提携を制限し、関連活動の開示を求める修正案を含む8本の案を提出しています。ただし、この修正案と今回の合意案が同じ内容かは明らかになっておらず、禁止行為の範囲や違反時の執行方法が実効性を左右します。
市場の期待は回復、成立にはなお複数の関門
倫理規定の合意が報じられると、予測市場PolymarketではCLARITY Actが2026年中に成立する確率が32%から43%へ上昇しました。法案協議の最大の障害とみられていた倫理問題が前進したことで、市場参加者の間に交渉再開への期待が広がった形です。ただし、条文が公開されていない段階の反応であり、成立を織り込んだ動きというより、停滞していた協議が再び動く可能性を評価したものと考えられます。
上院で法案を本格的な審議と採決へ進めるには、議事妨害を終結させるため原則60票が必要となり、共和党だけでは届かないため民主党議員の協力が欠かせません。さらに、ステーブルコインの報酬、分散型金融(DeFi)、マネーロンダリング対策などにも調整事項が残っており、上院案が下院通過案と異なれば両院間の条文調整も必要です。夏季休会を前に審議期間が限られるなか、今後公開される倫理規定が政治的な合意を実際の採決へつなげられるかが、法案成立への分岐点となります。

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