
日本資産と海外オンチェーン市場の接続を検討
SBIホールディングスは7月16日、株式などの金融商品のトークン化を手がける米Ondo Financeと、オンチェーン金融領域における戦略的提携を締結したと発表しました。両社は、日本株式を含む日本資産をトークン化し、Ondoのプラットフォームを通じて提供するとともに、Ondoが展開するトークン化商品をSBIグループの金融サービスに組み込むことを目指します。
提携では、SBIグループが持つ証券、デジタルアセット、取引所、決済関連の事業基盤と、Ondoが構築してきたトークン化商品の発行・償還基盤を組み合わせます。これにより、日本資産を海外のオンチェーン市場へ展開する経路を整える一方、海外で流通するトークン化商品をSBIの顧客基盤へ届ける双方向の事業展開を検討します。
Ondoは、米国上場株式やETFを裏付けとするトークン化商品を扱う「Ondo Stocks」を展開しています。同サービスは、米国外の投資家が対象商品へオンチェーンでアクセスできる仕組みを備えており、SBIはOndoの技術基盤や海外の販売網を、日本資産の新たな流通経路として活用する考えです。
JPYSCで資産取引と円建て決済を一体化
日本株式をトークン化して海外へ提供するには、商品の発行や流通に加え、売買代金を受け渡す決済手段も整える必要があります。そのため両社は、SBIグループが開発を進める信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」を、トークン化商品のオンチェーン決済や担保に利用することも検討します。
オンチェーン金融市場では、米国債や米国株式などのドル建て資産が先行してトークン化されており、取引には米ドル連動型ステーブルコインが広く利用されています。一方、日本株式など円建て資産の取引では、資産価格と決済通貨を円でそろえられれば、取引時の通貨交換や資金管理を簡素化できる可能性があります。JPYSCの具体的な対応チェーンや利用条件は公表されていませんが、円建て資産と円建て決済を同じオンチェーン環境で接続できるかが、事業化に向けた重要な論点となります。
SBIが構想するのは、トークン化商品を発行する仕組みだけを整えることではなく、商品の組成、流通、決済、担保管理までを連続した金融基盤として構築することです。Ondoがトークン化技術と海外市場への接続を担い、SBIが国内の金融事業や円建て決済基盤を提供することで、両社の役割を補完する形となります。
商品設計と投資家保護が実用化の焦点
株式や債券などのトークン化を巡っては、ブロックチェーン企業に加え、取引所や大手金融機関も関連サービスの開発を進めています。資産の移転や決済をブロックチェーン上で処理することで、取引時間の拡大や決済期間の短縮が期待されるため、トークン化は暗号資産市場に限らず、既存の資本市場を再構築する技術として関心を集めています。
ただし、トークン化された株式が実際の株式と同じ権利を持つとは限りません。商品によっては株価への連動を目的とし、議決権や配当を受け取る仕組みが通常の株式と異なる場合もあるため、裏付け資産の保管方法や償還条件、発行主体、投資家への情報開示を明確にする必要があります。さらに、日本と提供先の国・地域で適用される金融規制にも対応しなければならず、技術基盤を整えるだけで商用化できる分野ではありません。
SBIとOndoは、対象となる日本資産や商品内容、提供地域、顧客層、開始時期を今後決定する方針です。今後の評価を左右するのは、どの日本資産をトークン化するかに加え、投資家が保有する権利をどのように設計し、JPYSCを決済・担保の流れへ組み込むかです。SBIの国内金融網とOndoの海外流通基盤が具体的な商品として結び付けば、日本資産への投資経路を広げる取り組みへ発展する可能性があります。
公式発表:SBI、OndoFinance

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