
暗号資産受領後の業務工程を検証
暗号資産交換業を手掛けるビットトレードは8月6日、貿易DX事業を展開するSTANDAGEと、貿易取引で暗号資産を利用する際の実務課題を調べる共同実証を開始したと発表しました。法人が暗号資産を受け取る場面を想定し、入庫確認からスポット取引による売却、円建て残高への反映までに要する時間や価格差、換金コスト、社内確認の流れを検証します。
暗号資産を活用した国際取引では、ブロックチェーン上で資産を迅速に移転できる点が注目されてきました。一方、企業の決済業務は資産の到着だけで完了せず、受領確認、法定通貨への換金、取引記録の保存、社内承認までを一連の業務として処理する必要があります。このため両社は、送金速度と受領後の実務負担をあわせて確認し、法人が継続的に運用できる工程を探ります。
国際送金の負担と制度整備が背景
国際貿易では銀行送金が広く利用されていますが、取引国や経由銀行、口座の条件によっては着金までに時間を要し、複数の手数料が発生することがあります。とりわけ金融インフラが十分に整っていない地域との少額取引では、送金費用と入金の遅れが取引採算を圧迫し、中小企業の輸出入を難しくする一因になります。
こうした課題を背景に、STANDAGEは以前からアフリカや東南アジアとの取引を念頭に、ブロックチェーンを活用した貿易決済の構築を進めてきました。日本でも2023年施行の改正資金決済法により、法定通貨との価値連動を目指す一定のステーブルコインが「電子決済手段」として整理されています。技術面と制度面の環境が整うにつれ、企業利用では資産の送付可否よりも、国内の規制や法人管理に沿って安定運用できるかが重要になっています。
価格変動と管理負担が導入効果を左右
暗号資産は銀行の営業時間に左右されにくい一方、受領から売却までに相場が動けば、輸出企業が想定していた代金を確保できない可能性があります。さらに、取引量の少ない銘柄や相場変動が大きい局面では、入庫時の表示価格と実際の約定価格との差が広がり、換金費用も膨らみやすくなります。
そのため今回の実証では、暗号資産が口座に入った時点と売却が成立した時点の価格差を記録し、円への換金に必要な時間や費用とあわせて確認します。価格の安定を目指して設計されたステーブルコインでも、市場価格と額面価格が常に一致するとは限らないため、企業が導入効果を判断する際には、送付費用、売買、換金、確認作業を含む総コストを銀行送金と比較する必要があります。
また、貿易決済に暗号資産を導入する場合は、取引相手の確認、ウォレット管理、入出庫記録の保存、マネーロンダリング対策、会計・税務処理といった管理業務も実用性を左右します。ビットトレードは暗号資産の入庫確認、売却、円建て残高への反映を担い、STANDAGEは貿易実務に沿って法人運用上の論点を整理することで、資産処理と企業内業務を一体として検証します。
銀行送金との比較と今後の焦点
暗号資産を貿易決済に利用できるかを判断するには、処理時間、価格変動、換金費用、担当者の確認作業を総合的に見る必要があります。少額取引や銀行網が限られた地域では効果が表れやすい一方、取引額が大きくなるほど流動性の確保や審査、資産管理の負担も増えるため、優位性は地域や取引規模によって変わるとみられます。
両社は今後、暗号資産の入庫から円への換金までにかかった時間、価格変動による影響、売却費用、確認作業の流れを整理し、結果の公表を検討します。処理時間や手数料の平均値に加え、社内確認に必要だった作業量や銀行送金との差が示されれば、導入を検討する企業は自社の取引条件に照らして比較しやすくなります。暗号資産を活用した貿易決済が広がるかは、速さ、費用、安全性、規制対応を含む業務全体を改善できるかにかかっています。
公式発表:ビットトレード

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