
ウォン国際化にデジタル資産制度を組み込む
韓国政府は7月19日、海外におけるウォンの取引や決済を拡大する「ウォン国際化ロードマップ」を発表しました。域外でのウォン取引に対する規制を段階的に緩和するとともに、ウォン建てステーブルコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)を外国為替制度に組み込み、デジタル環境に対応した通貨・決済基盤を整備する方針です。
政府はデジタル資産基本法の制定に合わせ、2027年に外国為替取引法などの関連法令を改正する計画を示しました。ウォン建てステーブルコインについては、発行・流通・取引に関する法的枠組みを整えたうえで、国境を越えた移転や海外利用に適用する外為ルールも設ける方針と伝えられています。
韓国では、ウォン建てステーブルコインの発行主体や準備資産の管理方法をめぐる制度設計が議論される一方、韓国銀行も価値の安定性や償還能力、金融システムへの影響を主要な政策課題として挙げてきました。今回のロードマップによって、こうした議論は国内の発行規制に加え、海外送金や域外流通を含む外国為替政策との整合性を問う段階へ移ります。
24時間外為市場から域外ウォン決済へ
今回の政策が示された背景には、韓国が進めてきた外国為替市場の開放があります。韓国の外為市場は7月6日から24時間運営へ移行し、月曜日の午前6時から土曜日の午前6時まで連続してウォンを取引できる体制となりました。政府は、外国人投資家の利便性を高め、国内の営業時間に集中していたウォン取引を国際市場へ広げるための基盤と位置付けています。
ロードマップでは、この取引環境を決済面へ広げるため、海外に「域外ウォン決済機関」を設け、非居住者が国外のウォン口座を通じて預金や送金、決済を利用できる仕組みを整備します。あわせて24時間稼働する域外ウォン決済網を構築し、一定の条件を満たす非居住者間の資本取引では事前申告を免除するなど、既存の外為規制も見直す方針です。
ウォン建てステーブルコインが海外で利用される場合、ブロックチェーン上の移転と既存の銀行口座・決済網をどのように接続するかが制度上の焦点となります。さらに、発行額に対応する準備資産の保全や償還、利用者確認、マネーロンダリング対策、海外移転時の外為報告を一貫して管理する仕組みも必要になるため、デジタル資産法制と外国為替法制の連携が重要になります。
CBDCと預金トークンも並行して整備
韓国政府はウォン建てステーブルコインの制度化と並行し、韓国銀行が発行する機関向けCBDCを活用した国債トークン化の実証を2027年に進める計画です。また、国際決済銀行(BIS)と国際金融協会(IIF)が主導する「Project Agorá」への参加を通じて、トークン化された商業銀行預金と中央銀行マネーを組み合わせた国際決済の検証にも取り組みます。
これに先立ち、金融委員会は7月15日、韓国銀行のCBDCシステム上で預金トークン決済を検証する「プロジェクト漢江」第2段階に向け、慶南銀行とiM Bankを革新金融サービス事業者に追加しました。既存の参加銀行についても指定内容を変更し、第1段階より利用者と利用先を広げるほか、決済に送金機能を加え、国庫金を扱う事業まで検証範囲を拡大します。
韓国は、民間発行のステーブルコイン、銀行預金をデジタル化した預金トークン、中央銀行マネーを基盤とするCBDCについて、それぞれの役割を検証しながら制度整備を進めています。ロードマップが域外ウォン決済とデジタル資産を同じ外為改革の中に組み込んだことで、今後は発行主体や準備資産、償還義務に加え、海外利用時の資金移動管理と監督責任をどのように分担するかが具体化される見通しです。
公式発表:韓国政府ブリーフィング

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