
日本人旅行者にJPYCの利用先を提示
Web3プラットフォーム事業を手掛けるLINE NEXT Inc.は2026年8月6日、日本の利用者向けに韓国観光商品を集めた「K-Pick」タブの提供を始め、日本円建てステーブルコイン「JPYC」で商品やバウチャーを購入できる環境を整えたと発表しました。あわせて、ステーブルコイン決済インフラ「Unifi Pay」をグローバルで正式に展開し、JPYCを旅行や買い物といった実際の消費へつなげます。
K-Pickは、インバウンド観光プラットフォームを展開するAfformationの「Guide Kim」との協業によって設けられたキュレーションサービスです。Guide Kimが韓国のビューティー、ショッピング、観光などに関連する商品やバウチャーをそろえ、LINE NEXTがUnifiのウォレットとJPYC決済を接続することで、利用者は商品を探す段階から支払いまでをWeb上で進められるようになります。
LINE NEXTが韓国観光を最初の用途に選んだ背景には、旅行前の予約やバウチャー購入など、オンライン決済と結び付きやすい需要があります。日本人旅行者が使い慣れた円に連動するJPYCで支払える環境を整えれば、ステーブルコインの仕組みに詳しくない層にも用途を伝えやすくなるため、K-Pickは新たな決済手段を一般利用へ広げる入口として位置付けられます。
Guide Kimの商品力とUnifiの決済機能を接続
利用者はK-Pick上で複数分野の商品を確認し、そのままJPYCで決済できます。サービス開始に合わせて決済額に応じた期間限定のキャッシュバック特典も提供されるため、LINE NEXTは購入導線を整えると同時に、初期利用の拡大も図る考えです。
この仕組みでは、Guide Kimが観光商品を集めて構成し、Unifiがウォレットと決済の入口を提供します。観光情報と決済を同じ導線にまとめることで、利用者が外部サイトや別の支払い手段へ移る場面を減らし、商品を見つけた流れのまま購入へ進める設計となっています。
K-Pickが担う中心的な用途は、掲載商品やバウチャーのWeb決済です。これに対して、韓国の幅広い実店舗でJPYCを使う構想は、LINE NEXTが6月に発表した韓国決済企業Danalとの協業が担っており、旅行前の商品購入から滞在中の店舗決済までを段階的につなげる戦略が見えてきます。
Unifi miniを通じてLINE上から決済
K-Pickの決済基盤となるUnifi Payは、ステーブルコインウォレット「Unifi」に加え、日本国内向けのLINEミニアプリ「Unifi mini」からも利用できます。ウォレット内のステーブルコインをオンラインとオフラインの加盟店で使える仕組みで、利用者と事業者をウォレット経由で直接つなぎます。
LINE NEXTによると、同社が独自に課す決済手数料は0%で、精算時間は平均約1秒です。プロトコル手数料が別途発生する場合があり、利用できる資産や機能は提供地域の法規制や提携事業者の方針によって変わるものの、Unifi Payは導入コストと決済速度の両面で加盟店への訴求を図ります。
Unifi miniを用意した意義は、利用者が専用ウォレットを探して導入する手間を抑え、日常的に使うLINEから決済サービスへアクセスできる点にあります。ステーブルコイン決済を一般利用へ広げるには、技術性能だけを前面に出すより、商品を探して支払うまでの操作を身近なアプリ内に収めることが重要であり、LINE NEXTはその接点をUnifi miniで補強しています。
MOLTSでラグジュアリー商品にも対応
LINE NEXTは、日本国内で運営するラグジュアリーマーケットプレイス「MOLTS」にもUnifi Payを導入し、JPYC決済への対応を始めます。高級時計、バッグ、ジュエリーなどが対象となり、K-Pickが旅行関連の消費を担う一方で、MOLTSは高価格帯の商品へ利用先を広げる役割を果たします。
旅行商品とラグジュアリー商品を同じ決済基盤へ接続する動きからは、JPYCを特定分野の支払いに限定せず、価格帯や購入目的の異なる消費へ展開しようとする意図が読み取れます。加盟店にとって独自決済手数料0%は導入を検討する要素になりますが、実際の評価にはプロトコル手数料、ステーブルコインの管理、返金、会計処理などを含む運用全体の負担も関わります。そのため、Unifi Payの普及を左右するのは、決済速度や表面的な手数料の低さだけではありません。加盟店が既存の決済手段に近い負担で導入後の事務や資金管理を行える環境を整えられれば、JPYC決済の優位性も実務面で評価されやすくなります。
12億円の保有残高を決済へ移せるか
LINE NEXTによると、Unifiでは6月30日に日本国内向けのJPYC預け入れサービスが始まり、1週間で保有総額が12億円を超えました。同社は、この残高をUnifi Payの決済規模拡大につながる基盤と位置付けています。ただ、保有総額はウォレットに集まった資金規模を示す数字であり、商品やサービスの購入に使われた金額と一致する指標ではありません。Unifi Payの定着度を測るには、保有残高に加え、決済件数、継続利用者数、加盟店数、キャッシュバック終了後の利用頻度を確認する必要があります。
K-Pickによる旅行前の商品購入、MOLTSでの高価格帯商品の決済、Danalとの協業が想定する韓国店舗での支払いがつながれば、LINE NEXTは旅行の準備から現地消費までをUnifiで支える構図を描けます。JPYCの保有残高を一時的なキャンペーン利用に終わらせず、利用者が繰り返し選ぶ決済手段へ育てられるかが、今後の市場評価を左右しそうです。
公式発表:LINE NEXT PR TIMES

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