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Upbit、円連動型ステーブルコイン「JPYC」を上場 韓国初のウォン建て市場で価格乖離

サムネ


韓国初の円建てステーブルコイン取引を開始

韓国の大手暗号資産取引所Upbitは2026年9月17日、日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」の取引対応を開始しました。取引ペアは韓国ウォン(KRW)、ビットコイン(BTC)、テザー(USDT)建ての3種類で、韓国の取引所が円建てステーブルコインを上場するのは初めてとされています。これにより、韓国ウォンから円建てデジタル資産を直接売買できる市場が生まれました。

取引開始は当初、同日12時に予定されていましたが、JPYCのみ15時へ変更された後、再び18時へ延期されました。同時に取り扱いが発表された米ドル連動型ステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」は予定どおり12時から取引されており、JPYCの開始時刻だけが段階的に繰り下げられました。入出金に利用できるのはEthereumネットワークに限られ、PolygonやAvalanche、Kaiaなど、ほかのネットワークから直接送金することはできません。

Upbitは2025年7月時点でUSDT、USDC、USDSの3種類を取り扱っていましたが、その後はUSDe、USD1、RLUSD、USDG、PYUSDなど、ドルとの連動を掲げる銘柄を相次いで追加してきました。円連動型のJPYCが加わったことで、同取引所のステーブルコイン市場はドル中心の構成から複数通貨へ広がり始めています。


上場直後に35.7ウォン、価格乖離の背景に供給不足

聯合ニュースによると、JPYCは12ウォンで取引を始め、18時42分時点で35.7ウォンまで上昇しました。開始価格からの上昇率は197.5%に達し、同時刻にCoinMarketCapが示していた9.65ウォンの3倍を超えました。Upbitが同日9時40分時点の参照価格として示した8.81ウォンと比べても、上場直後の価格は円とウォンの為替水準から大きく離れていました。

Upbitは新規銘柄への注文集中を抑えるため、取引開始後の約5分間は買い注文と基準価格を10%以上下回る売り注文を制限し、約2時間は指値注文のみを受け付けました。それでも価格が急騰した背景には、同取引所へ入金できるJPYCがEthereum版に限られていたことも影響した可能性があります。「JPYC Info」の集計では、9月17日午前時点でEthereum版の流通量は全体の約7%にとどまり、流通の中心はKaiaとPolygonでした。このため、取引開始時に供給できる数量が買い需要に追い付かず、価格差が広がったと考えられます。

韓国の取引所では、ユーロ連動型ステーブルコイン「EURC」でも似た値動きが起きています。2026年9月にはBithumbで一時7,860ウォン、Upbitでも3,300ウォンまで上昇し、本来のユーロ換算価格から大幅に乖離しました。JPYCの急騰も発行・償還の基準価値から離れ、上場初期の需給を強く映した動きとみられます。市場間の送金や裁定取引が十分に働く前に注文が集中すれば、ステーブルコインでも取引価格が連動対象から大きく外れることを示した形です。


発行・償還で円との価値連動を支えるJPYC

JPYCを発行するJPYC株式会社は、2025年8月に資金決済法に基づく資金移動業者として登録され、同年10月にJPYCと発行・償還サービス「JPYC EX」を正式に開始しました。JPYCは日本の法制度上、暗号資産と区別される「電子決済手段」に位置付けられており、発行残高以上の日本円預貯金と日本国債を裏付け資産として保有する仕組みを採用しています。

JPYC EXでは、本人確認を完了した利用者が銀行振込によってJPYCの発行を受け、保有するJPYCを登録済みの銀行口座へ日本円で償還できます。2026年5月末までに口座開設数は1万9,000件、累計発行額は30億円を超えました。この発行・償還の仕組みが1JPYC=1円の価値連動を支えていますが、取引所の売買価格は注文状況と流動性によって決まるため、二次市場の価格が常に1円相当で推移するとは限りません。

日本国内では、JPYC EXを通じた発行や分散型取引所での交換が主な取得経路となってきました。Upbitへの上場によって海外の大手中央集権型取引所に注文板が設けられたことで、JPYCは発行元との直接取引を中心とした流通から、市場参加者同士が価格を形成する取引へ範囲を広げたことになります。


越境需要を取り込めるか、流動性の安定が焦点

韓国では、ステーブルコインを介した海外への資金移動が拡大しています。韓国金融監督院の資料を基にした報道によると、2026年6月に主要ウォン市場5社から海外取引所へ送られたステーブルコインは2兆7,625億ウォンに達し、流入額を差し引いた純流出額は5,603億ウォンとなりました。純流出は2025年1月から18カ月連続で続いており、韓国の利用者が海外のデリバティブやDeFi、ステーキングサービスへアクセスする際の移転手段として、ステーブルコインを活用している状況がうかがえます。

こうした市場にJPYC/KRWが加わることで、越境取引には円建ての選択肢も生まれます。ただし、日本国内でJPYCを決済に使うには、Ethereum対応ウォレットへの出金に加え、ガス代の負担や利用先の対応状況も考慮する必要があります。発行元を通じて日本円へ償還する場合は、JPYC EXへの登録とマイナンバーカードを使った公的個人認証が求められるため、Upbitでの購入と発行元による償還は異なる利用経路として捉える必要があります。

今後は、外部からのJPYC流入によってUpbitの価格が円との連動水準へ収束し、安定した取引量と注文の厚みが形成されるかが焦点となります。流動性が整えば、KRW市場は韓国から円相当の価値へアクセスする新たな窓口になり得ます。上場直後の投機的な値動きを乗り越え、決済や送金を目的とする実需を取り込めるかどうかは、ウォレットや決済サービスとの接続を含む利用環境の広がりに左右されそうです。


公式発表:Upbit

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