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韓国金融委、暗号資産の市場メイカー制度を検討 JPYC急騰で上場時の流動性に焦点

サムネ


韓国金融委幹部、JPYCの価格急騰に言及

韓国金融委員会が暗号資産市場へのマーケットメイク制度の導入を検討する方針を示したと、韓国メディア「Digital Asset」が2026年9月28日に報じました。同日ソウルで開かれた「The Bridge Summit 2026」で、ユ・ヨンジュン・デジタル金融政策官が市場の効率性と安定性を高める制度の必要性に言及したものです。ユ氏は取引所に対する規律を考える事例として、日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」の韓国上場時に起きた価格急騰を挙げました。

JPYCは、日本で資金移動業者として登録を受けたJPYC株式会社が発行しています。日本円の預貯金と国債を裏付けとし、原則として1JPYCを1円で発行・償還する設計です。ただ、取引所で利用者同士が売買する価格は、その市場の注文によって決まります。韓国ではJPYCを買いたい人に対し、上場直後に売りに出せる量が限られたことで、円・ウォン相場から計算される価格との間に大きな差が生じました。


Upbitは取引開始を延期、入金できるJPYCも限定

Upbitは9月17日、JPYCの韓国ウォン建て取引を開始しました。円・ウォン相場に基づく基準価格が約8.8ウォンだったのに対し、取引価格は一時37.60ウォンに達し、4倍を超える水準となりました。韓国紙「ヘラルド経済」の取材によると、Upbitは取引開始に必要な最低入金量を確保できず、予定していた開始時刻を約3時間遅らせていました。取引が始まる前から、売り注文につながるJPYCの確保が課題になっていたことがうかがえます。

JPYCは複数のブロックチェーンで流通していますが、同紙によれば、Upbitが当初入金を受け付けたのはEthereum上のJPYCでした。上場前日、このネットワーク上にあったJPYCは全流通量の約6.9%で、ほかのネットワークの保有者は、そのままUpbitへ送って売ることができません。取引開始後にはKaiaとPolygonからの入金も追加されたものの、売り手が限られた初期の市場に買い注文が集中したことが、急騰の背景とみられています。

価格差は購入者にも影響しました。聯合ニュースなどが報じた、韓国の国会議員室にUpbitが提出した資料によると、9月17~21日に基準価格より10%以上高くJPYCを購入した人は、重複を除いて2万1,219人に上ります。購入額は計2,598億5,519万ウォンで、9月21日時点で対象のJPYCを保有していた3,792人の評価損失は、単純合計で約50億3,000万ウォンと推計されました。後者は保有分の評価額に基づく数字で、確定した損失額ではありません。


過去の価格乖離も、流動性をめぐる議論の背景に

韓国の取引所で、通貨連動型の資産に大きな価格差が生じたのはJPYCが初めてではありません。韓国紙「エネルギー経済」は、ユーロ連動型の「EURC」やドル連動型の「USDT」「USD1」でも、参照する通貨の価値から大きく離れた価格で取引された事例を伝えています。発生時の事情はそれぞれ異なりますが、発行体が想定する連動先の価値と、取引所で成立する価格が必ずしも一致しない点は共通しています。

同紙の取材では、デジタルXリサーチセンターのキム・ミンスン氏が、法人や金融機関の参加が限られ、個人の注文に流動性を依存する韓国市場の構造を指摘しました。タイガーリサーチのアン・グァンホ氏も、新規上場の前後に十分な数量を流通させ、独立した市場メイカーが買値と売値を提示できる環境の必要性を訴えています。以前から指摘されてきた問題が、JPYCの上場と購入者の評価損失によって、改めて制度上の論点として浮かび上がりました。


流動性の供給と相場操縦をどう区別するか

市場メイカーは買値と売値を継続的に提示し、売買を成立しやすくする参加者です。売り注文が少ない市場に流動性を供給できれば、買いが集中した際の急激な値上がりを和らげる可能性があります。その活動を認めるには、発行体や取引所との関係、価格形成への影響を把握し、利益相反や不公正な取引を監視する仕組みも必要になります。

韓国の仮想資産利用者保護法は相場操縦などの不公正取引を禁じており、マーケットメイク行為を認める例外は設けていません。金融委が暗号資産に関する第2段階の法整備を議論するなか、ユ政策官は今回、取引所の売買成立や異常取引の監視などを自主規制から公的な規律へ移す考えにも言及しました。市場メイカーを制度化する場合、その資格や注文の監視方法に加え、取引所・発行体との関係をどう開示するかが論点になります。

JPYCの事例からは、制度上の参加者を定めることと並んで、上場時に実際に売りに出せる数量を把握する必要性も見えてきます。Upbitは最低入金量を理由に取引開始を延期しましたが、その後の市場では大きな価格差が生じました。今後の議論では、流動性供給を認める条件と、取引開始前に入金経路や売買可能数量を確認する取引所の責任が、利用者保護を左右する焦点となりそうです。


参考資料:Digital Asset

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