
実証を経たウォレットを一般利用者向けに提供
マイナンバーカードと公的個人認証を活用したウォレットを開発するマイナウォレット株式会社は7月21日、デジタル資産ウォレットアプリ「マイナウォレット」の一般提供をApp StoreとGoogle Playで開始したと発表しました。利用者はマイナンバーカードをスマートフォンにかざして本人確認を行ったうえで、ステーブルコインや暗号資産の送受信、NFTの管理、保有資産推移の確認などを利用できます。
同社は一般公開に先立ち、自治体や決済関連企業と連携しながら、本人確認から資産の受け取り、店舗での支払いまでをつなぐ実証を進めてきました。新潟県長岡市山古志地域では、小学生から80歳代まで約30人が参加し、マイナンバーカードを使った利用登録やステーブルコインのチャージ、実店舗での決済を検証したほか、その後も三井住友カードとの連続実証や、デジタルガレージ、JCB、りそなホールディングスと連携した決済検証を重ねています。こうした取り組みを経て、実証参加者を中心としていたサービスが、一般利用者もアプリストアから直接利用できる段階へ移りました。
本人確認から復旧までを一つの利用導線に統合
Web3ウォレットでは、本人確認、秘密鍵の保管、ネットワーク手数料の準備がそれぞれ別の作業になる場合があり、初めて利用する人にとって操作の複雑さが参入障壁になってきました。特に秘密鍵を紛失すると資産へアクセスできなくなる可能性があるため、利用者自身が資産を管理する仕組みを維持しながら、復旧手段も確保することが普及に向けた課題となっています。
こうした課題に対応するため、マイナウォレットはアカウント作成時の本人確認に公的個人認証サービス(JPKI)を使い、その後の認証には端末のパスキーを採用しました。さらに、Account Abstraction技術とJPKIを組み合わせることで、端末や秘密鍵を紛失した場合でもアカウントを復旧できる仕組みを整えています。加えて、ステーブルコインやトークンの送受信に必要なガス代は、対応チェーンや手数料、利用回数などの条件に応じて同社が負担するとしており、Ethereumを含む主要EVM系6チェーンへの対応と合わせて、利用開始時の負担を抑える設計です。
公的IDとWeb3サービスを結ぶ利用基盤へ
国内では、ステーブルコインを決済や送金に活用する事業開発が進む一方、自治体でも地域通貨や給付金のデジタル化が検討されています。ただし、こうした仕組みを個人向けサービスとして展開するには、利用者の本人性を確認したうえで、ウォレット作成や決済、資産管理までを円滑につなぐ基盤が欠かせません。
その接続基盤として同社が採用したのが、JPKIとブロックチェーン上のアカウントを組み合わせる設計です。公的な本人確認を終えた利用者基盤を各サービスが活用できれば、事業者はサービスごとに認証環境を整備する負担を抑えながら、決済、会員機能、デジタル証明などを提供しやすくなります。マイナウォレットは、公的IDを起点として、資産管理に加え、決済や会員機能、デジタル証明など複数のWeb3サービスへ接続する共通基盤を目指しているとみられます。
普及の鍵は利用先と外部サービスの広がり
同社は今後、自治体による地域通貨や給付金のステーブルコイン配布、本人確認済みユーザー向けのミニアプリ基盤を計画しています。さらに、マイナンバーカードのタッチ操作とQRコード決済に対応するWeb3決済サービス「マイナペイ」も実証を通じて検証しており、ウォレットを起点に行政・地域サービスと民間決済を接続する構想を掲げています。
一方で、ウォレットの一般公開だけで日常利用が広がるとは限らず、資産を利用できる店舗や自治体サービス、接続する外部アプリがどこまで増えるかが重要になります。公的本人確認、資産管理、決済を一つの利用環境へまとめる構想が社会基盤として定着するかは、今後公表される導入地域、提携事業者、利用実績によって評価されることになります。
公式発表:マイナウォレット PR TIMES

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