
有料会員向けに金融サービスを順次展開
Xは7月27日(日本時間7月28日)、金融サービス「X Money」を米国のX PremiumおよびPremium+加入者向けに順次展開しました。招待制のベータ提供から対象を広げ、Xアプリ内で預金口座の管理、ユーザー間送金、Visaデビットカードを使った支払いなどを利用できるようにします。イーロン・マスク氏が掲げてきた「Everything App」構想は、金融分野でも本格的な運用段階に入りました。
サービスには、Xアカウント間の無料P2P送金をはじめ、給与の直接入金、請求書の支払い、電信送金、小切手の送付、ATMからの現金引き出しなどが含まれます。利用者は投稿やメッセージでつながった相手へ同じアプリから送金できるため、交流から決済へ移る際の操作が簡略化されます。VenmoやCash Appなどが先行する米国市場で、Xは既存の利用者基盤と日常的なコミュニケーションを金融サービスへの入口として活用する考えです。
最大6%の金利で口座利用を促進
利用促進策として、条件を満たした口座には最大6.00%の年利率(APY)が提示され、Visaブランドの「X Card」を使った対象購入には最大3%のキャッシュバックが用意されます。6%の金利はPremium+加入者が主な対象となり、Premium会員も一定額以上の給与などを直接入金すれば優遇を受けられる場合があります。いずれも期間や残高、取引内容に条件があり、利率や還元率は変更される可能性があります。
X Cardはバーチャルカードと物理カードの双方を提供し、バーチャルカードはApple Walletへ登録してApple Pay対応店舗で利用できます。これにより、X Moneyはアプリ内送金からオンライン購入、実店舗での日常決済まで利用範囲を広げます。米国には高利回り口座や還元型カードが数多く存在するため、優遇条件によって初期利用を促した後も、操作性や顧客対応を含むサービス品質によって継続利用につなげられるかが重要になります。
預金管理はCross River Bankが担当
X Moneyの銀行・決済基盤は、フィンテック企業へのインフラ提供を手がけるCross River Bankが担います。X Payments LLCは利用者向けのサービスを運営しますが、預金を保有する銀行ではなく、利用者の資金はCross River Bankやプログラムに参加する金融機関で管理されます。通常のFDIC預金保険は、預金者1人につき、1銀行・1所有区分当たり最大25万ドルが基準です。
一部の対象者には、資金を複数のFDIC加盟銀行へ振り分けるキャッシュ・スイープ・プログラムも提供され、条件を満たした場合には合計最大1,000万ドルまで預金保険の対象になり得ます。ただし、同制度が保護するのは参加銀行の破綻時における対象預金であり、不正送金やアカウントの乗っ取り、サービス障害による損失を一律に補償する仕組みではありません。そのため、Xの画面上で提供されるサービスであっても、資金を管理する銀行とXがそれぞれ担う役割を把握しておくことが重要です。
利用者基盤を金融取引へ移せるか
X Moneyをめぐっては、Xの規模を生かした決済サービスとして既存事業者への競争圧力になるとの見方がある一方、消費者保護や不正利用対策、金融データの管理を懸念する声も出ています。エリザベス・ウォーレン上院議員はサービス開始前、詐欺や違法金融への対策、取引データの利用方針などについてX側へ説明を求めていました。金融サービスでは利便性に加え、資金を安全に預けられるという信頼を継続して示すことが欠かせません。
発表された機能は米ドル建ての預金、送金、Visaデビットカードを中心としており、暗号資産やステーブルコインに関する提供計画は示されませんでした。今後は、Xの有料会員が実際に口座を開設し、給与の受け取りや日常的な支払いに利用するかが普及を測るポイントになります。高金利やキャッシュバックによる初期の関心を継続利用につなげるには、使いやすさに加え、不正利用への対応や資金管理の透明性を着実に示していく必要があります。
公式発表:XMoney、cross river

コメント