
業務データを決済条件へ変換
ブロックチェーン関連技術を開発するDatachainは2026年7月30日、トークン化預金などのオンチェーン金融機能と企業の業務システムを接続する「統合クロスチェーンAPI基盤」の実証実験を開始したと発表しました。ERPや会計、受発注、請求、検収などの取引情報をスマートコントラクトや金融システムと連携させ、契約条件の確認から送金指図までを一体的に処理できるか確かめるとしています。
企業間取引の自動化には、トークン化預金の移転機能に加え、企業ごとに分散した業務データを決済条件として扱える形に整える仕組みが欠かせません。銀行がプログラム可能な預金を提供しても、納品や検収の情報を共通の形式で受け取れなければ、業務処理と連動した自動決済にはつながりにくいためです。Datachainは、金融機能と企業の業務システムを結ぶAPI基盤を通じて、この接続部分の実用性を確かめるとしています。
物流や認証情報を送金指図へ反映
Datachainによると、実証ではERPに登録された情報に加え、IoT機器から取得する物流、在庫、設備の稼働状況、第三者機関の認証データなどをスマートコントラクトの実行条件として利用します。設定した納品条件や承認手続きが満たされると契約状態を更新し、トークン化預金などを用いた送金指図へ進む流れを検証する方針です。
例えば、部品の到着を物流データで確認し、発注企業による検収が完了した段階で支払いへ移る仕組みが想定されます。既存の銀行振込でも資金移動は可能ですが、納品や検収の完了を自動的に判断して決済条件へ反映する機能はありません。今回の取り組みは送金処理の高速化より、その前段にある企業取引を決済と連動させることに重心があります。
一方、入力された物流情報や認証結果に誤りがあれば、意図しない送金につながる恐れがあります。外部データの真正性や情報修正時の承認、誤った送金指図を止める権限設計まで含めて安全に運用できるかが、実用化に向けた課題です。
トークン化預金の競争は実装段階へ
トークン化預金は、銀行預金をブロックチェーンなどの分散型台帳上で扱い、プログラムに基づく資金移動へ活用する仕組みです。海外ではJPモルガンが企業決済や資金管理への利用を進めており、業界の焦点は預金をデジタル化できるかという段階から、企業の実務へどう組み込むかへ移りつつあります。
Datachainは2022年からステーブルコイン分野に取り組み、2025年11月にはトークン化預金関連事業を開始しました。今回の検証環境にはEVM互換の許可型ブロックチェーンを採用し、参加者やアクセス権を限定したうえで、企業ごとに異なる取引条件や承認手続きを処理するとしています。
トークン化預金の普及を左右するのは、発行技術の完成度に加え、既存のERPや物流、会計システムへ無理なく接続できるかという点です。DatachainのAPI基盤が、分断された業務情報を安全に決済へつなげられるかが、商用化へ進むうえでの焦点となります。
公式発表:Datachain PR TIMES

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