
「Blue Age」を越中舟橋駅の到着前に放送
NFTを活用した地域資源販売事業を手がけるあるやうむは2026年8月4日、富山地方鉄道が販売する「越中舟橋駅・車内メロディクリエイト体験」の第2号購入者が、GLAYのTAKURO氏に決まったと発表しました。TAKURO氏が作曲したインストゥルメンタル曲「Blue Age」は、9月1日から12月31日まで、列車が越中舟橋駅へ到着する際の車内放送で流れます。
「Blue Age」は、TAKURO氏が2026年3月に発売したヒーリングアルバム『May Love Guide Your Way』に収録された、ピアノを基調とする楽曲です。TAKURO氏は列車での旅行を好み、過去に訪れた富山に穏やかな印象を持っていたと説明しています。そのうえで、乗客に安らぎや優しい気持ちを届けたいとの思いから、越中舟橋駅のメロディとして同曲を選んだとしています。
TAKURO氏が税込25万円で車内メロディの制作権を購入したことは、音楽や芸能分野の報道でも取り上げられました。一方、Web3の視点から重要なのは、鉄道の車内放送という地域資源を期間限定の体験として切り出し、その購入記録をNFTと結び付けた商品設計にあります。
NFTと現実の車内放送を組み合わせた体験商品
「越中舟橋駅・車内メロディクリエイト体験」は、購入者が制作した20秒以内のメロディを、越中舟橋駅到着前の車内放送で4カ月間流せる商品です。価格は税込25万円で、販売数は5枠に限られています。第1号は東京都在住の鉄道ファンが購入しており、TAKURO氏側はその事例を報道で知ったことをきっかけに、第2号の購入へ至ったとされています。
購入者には、一般の利用者が立ち入れない富山地方鉄道の車庫内部を撮影した画像が、NFT形式のデジタル権利証として付与されます。購入後は2カ月以内に音源を提出し、音質や音量、著作権、公序良俗などに関する確認を経て、実際の放送へ進む仕組みです。
このため、商品の価値はNFT画像のみで完結するものではなく、実際の列車内で自らの音源を流せる期間限定の体験と一体化しています。NFTは購入者と体験内容をデジタル上で結び付け、誰が権利を取得したのかを記録する役割を担います。デジタル資産と現実のサービスを組み合わせる「フィジタル型」の商品設計として捉えられます。
譲渡不可とすることで購入者と体験を固定
購入者へ付与されるNFTは譲渡できず、「TOKKEN」のアカウント上で保有・管理されます。NFTは一般に、ブロックチェーン上で別のウォレットへ移転したり、二次流通市場で売買したりできる設計も採用されていますが、同商品では購入後の権利を第三者へ移す仕組みを設けていません。
譲渡を制限することで、車内メロディを制作する本人とNFTの保有者を結び付けた状態を維持できます。鉄道会社側にとっても、購入者、提出された音源、放送期間の対応関係を管理しやすくなり、投機的な転売によって権利者が頻繁に変わる事態を避けられます。NFTを売買対象として扱うより、参加記録や体験証明に活用する設計です。
ただし、NFTの保有によって車内放送が自動的に実行されるわけではありません。音源の確認や放送時期の調整、列車内での再生は富山地方鉄道が担うため、NFTは鉄道運行を制御する技術ではなく、購入と体験の関係を記録する部分に使われています。この役割を明確にすることで、NFTを採用した意味も伝わりやすくなります。
鉄道への参加権を新たな収益源に
販売に使われた「TOKKEN」は、地域の文化や自然、施設、コミュニティーに関連する権利や体験を商品化するプラットフォームです。あるやうむは、舟橋村のほか、香川県琴平町や北海道むかわ町などとも取り組みを進め、新米を複数年受け取れる商品や、文化財に関わる体験などを販売してきました。
鉄道会社が保有する駅や車内放送は、通常、運行案内や広告に利用される空間です。富山地方鉄道はその一部を個人が参加できる創作体験として切り出し、販売数と放送期間を限定することで商品化しました。乗客から運賃を得る従来の事業に加え、鉄道に関わりたいファンから体験の対価を得る収益経路を設けた形です。
TAKURO氏の参加によって、5枠限定の企画は音楽ファンにも知られる機会を得ました。事業面で見ると、著名アーティストの楽曲が流れること以上に、これまで販売対象になりにくかった車内放送を、NFTで記録される参加権へ転換した点が重要です。地域交通が持つ設備や運行空間を体験商品として再構成する手法は、地方鉄道が運賃外収入を開拓するうえで、一つの選択肢を示しています。
公式発表:あるやうむ PR TIMES

コメント