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Mastercard、BVNK買収で企業の資金管理に照準 ステーブルコイン決済基盤でVisaと競争

サムネ


法定通貨とステーブルコインを共通の基盤で管理

MastercardとBVNKは10月15日、銀行やフィンテック企業、一般企業向けの「Mastercard Global Money Platform」の提供を開始したと発表しました。Mastercardの国際決済・送金機能とBVNKのステーブルコイン基盤を単一のAPIで接続するサービスで、2026年8月のBVNK買収完了後、両社の機能を統合する初の大型案件となります。

BVNKを通じて提供される同サービスは、法定通貨とステーブルコインを並行して保有する複数通貨口座を中心に、リアルタイム交換やステーブルコイン連動カード、銀行口座への支払いを組み合わせています。金融サービス事業者が自社ブランドの商品に組み込めるほか、企業が自社の資金管理に直接利用することも可能で、必要な機能から段階的に導入できる設計です。

同日にはVisaも、ステーブルコインを使った国際送金の資金準備を商用化したと発表しました。両社が企業向けサービスの展開を進めるなか、ステーブルコインを既存の銀行送金やカード決済へ接続する基盤の整備が、決済大手の競争領域として浮かび上がっています。


海外取引で分散する口座と運転資金が背景に

両社が利用例に挙げるのは、複数通貨で売上を受け取り、海外の仕入れ先へ支払う製造業です。こうした企業は、市場ごとに口座や決済事業者を使い分け、支払いに備えて資金を事前配置する必要があり、管理業務の複雑化や運転資金の拘束につながると説明しています。Global Money Platformは、分散した入出金と流動性をまとめて管理することで、この負担の軽減を目指します。

その支払い機能を支えるのがMastercard Moveとの連携です。ステーブルコイン残高を原資に、受取人の銀行口座へ現地通貨で支払う仕組みを提供し、2027年には40超の通貨、200超の国・地域へ対応範囲を広げる見通しです。また、カード発行は130超の国に対応するとし、保有残高をMastercard加盟店での支払いにもつなげると説明しています。

企業側から見ると、受け取る資金の種類に応じて、取引先への支払い手段を選びやすくする構成といえます。ステーブルコインで受け取った売上を法定通貨へ交換し、銀行口座へ送る流れを共通化できれば、工程ごとに別のサービスを接続する負担を抑えられると考えられます。


カード決済・清算の取り組みを買収後の製品へ

Mastercardは2025年6月、USDCやUSDG、PYUSD、FIUSDの活用を掲げ、カード決済や送金、法人間決済でステーブルコインを利用する方針を公表しました。2026年6月には、規制に準拠したステーブルコインによるカード取引の清算に加え、日中・週末・祝日の清算機会を拡充する計画を示しています。今回のサービスは、こうした決済網への接続を、企業向けの口座・資金管理と結びつける位置付けです。

その技術基盤となるBVNKについて、Mastercardは2026年3月17日に最大18億ドルで買収する契約を発表し、8月3日に手続きを完了しました。BVNKは法定通貨とオンチェーン決済をつなぐインフラを提供し、買収契約の発表時点で130超の国にまたがる送受金に対応していました。買収完了から約2カ月での製品投入により、取得した技術を既存の決済事業へ組み込む動きが具体化しています。

初期の統合予定企業にはNuvei、Marqeta、Ontop、Bolt Group、Almond FinTechが挙げられました。このうちNuveiは、複数のインフラ事業者を個別につなぎ合わせる負担を抑えながら、顧客の資金移動の選択肢を広げられると評価しています。導入を予定する事業者からも、サービス構築の効率化に対する期待が示されています。


Visaも商用展開、実際の業務への定着が次の焦点

競合のVisaは2026年7月16日、ステーブルコインの発行・償還、保有、移転を一つの環境で扱う「Visa Stablecoin Platform」を発表し、一部顧客向けのベータ提供を案内しました。さらに10月15日には、Inyo Globalを通じ、USDCでVisa Directの国際送金用資金を準備する機能が商用稼働に入ったと発表しています。提供範囲や機能構成には違いがあるものの、両社とも企業の既存業務にステーブルコインを組み込む接続基盤を整えています。

企業による利用は、カード決済の一部にも表れています。Visaが10月1日に公表した自社データでは、2026会計年度の年初来のステーブルコイン連動カード取扱高の約17%を、法人・事業向けプログラムが占めました。Visaのカード網に限った集計ですが、企業の支払いにステーブルコインが利用されている状況を示しています。

こうした動きを踏まえると、今後の競争では、対応機能の拡充に加え、入出金や資金管理の実務をどれだけ簡素化できるかが重要になると考えられます。Mastercardはトークン化預金やAIエージェントによる商取引への対応も計画しており、初期統合企業を通じたサービス展開と2027年の支払い対象地域・通貨の拡大が、企業利用の広がりを追ううえで注目点となります。


公式発表:Mastercard

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