WEB3業界動向

JPYC決済、月額サービスの運営へ Zept「JSS」が継続課金を支援

サムネ


直接送金と契約管理を組み合わせ、毎月の支払いを効率化

Zept株式会社は10月22日、日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」を使った定期課金管理基盤「JP Stablecoin Subscription(JSS)」を開発したと発表しました。利用者が初回登録時に料金プランや課金周期を確認し、ウォレットを接続して署名すると、設定条件に沿った継続課金の実行を支援する仕組みで、SaaSやAIサービス、オンラインコミュニティなどへの導入を想定しています。

決済には、利用者からサービス提供事業者のウォレットへJPYCを直接送る「パススルー型」を採用し、JSS運営者が利用者資産を預からずに課金スケジュールや契約状態を管理します。課金の成功・失敗や契約状態の変更はWebhook・APIを通じて外部へ通知されるため、導入事業者は会員権限の付与、利用期限の更新、支払い失敗時の通知などを自社システムに組み込めるとしています。

開発の背景には、毎月の手動送金と入金確認に伴う運用負担があります。月額サービスでは、支払いの有無に応じて契約や利用権限も管理する必要があることから、Zeptは送金処理から結果通知までを共通基盤として提供し、事業者がJPYC決済を既存の運営フローへ組み込める環境を目指しています。


先行する継続課金構想と、ZeptのWeb3事業展開

国内では、Advance Ability株式会社が2026年5月18日、JPYCによる定期課金機能をAPI・SDK形式で外部事業者へ提供する「JPYC Subscription Service(仮称)」の構想を発表していました。7月31日にはmindpalaceが同社との提携を公表し、導入候補企業の紹介やコミュニティ連携、国内外のWeb3・FinTech事業者とのネットワーク形成などを通じた普及支援に乗り出しています。

その後、Zeptは10月19日付でWeb3.0部門を新設し、Advance Ability代表取締役の三桐睦夫氏を部門長に迎えました。同社は、企業向けのAI活用支援やシステム開発の知見と三桐氏の経験を組み合わせ、企画・検証から実装・運用までを見据えた事業づくりを進めるとしています。

ZeptはJSSに先立つ10月21日にも、請求書発行から入金照合・消込、領収書発行、月次レポート作成までを管理する「JP Stablecoin Invoice(JSI)」の開発を発表しました。これらの動きを踏まえると、同社はJPYCを企業の業務で扱うための機能を、請求・経理とサブスクリプション運営の両面から整えようとしていると捉えられます。


海外の先行例と異なる、JPYCで直接受け取る設計

海外では、ステーブルコインによる継続課金が先行しています。Stripeは2025年10月、初回の承認に基づき、利用者が毎回署名し直すことなくウォレットから支払えるサブスクリプション機能を発表しました。当初は米国事業者向けの限定提供としてBaseとPolygon上のUSDCに対応し、事業者には法定通貨で入金する仕組みを示しています。

利用側の事例として、Cloudflareは公式資料で、USDCによる月額・年額プランの更新や従量課金への対応を案内しています。残高不足や承認取り消しへの対処、返金方法まで説明しており、決済機能を請求や顧客対応と一体で運用する例となっています。こうした事例から、継続課金の実用化には、自動送金に加えてサービスを継続提供するための運用設計が重要だと分かります。

この流れの中でJSSを位置付けると、日本円建てのJPYCを事業者が自社ウォレットで直接受け取る点に違いがあります。Stripeが発表した法定通貨での受領とは資金管理の流れが異なるため、導入事業者にとっては、回収したJPYCの管理や利用、円への償還まで含め、自社の業務にどう組み込むかが検討の焦点になります。


店舗決済に続く用途として、継続的な料金回収を開拓

JPYCは、資金移動業者のJPYC株式会社が2025年10月27日に発行を開始した電子決済手段で、1JPYCを1円で発行・償還します。同社の2026年10月9日付発表によると、実店舗・移動店舗・ECサイトを合わせて150以上の導入店で利用できるようになっています。JSSは、こうした購入時の支払いに加え、定期的に料金が発生するサービスへ用途を広げる取り組みといえます。

すでにウォレットを利用する顧客を持つサービスでは、毎月の送金操作や入金確認を減らす用途が考えられます。今後は、具体的な導入先で、支払い失敗時の対応も含めた運営負担がどう変わるかが焦点となります。継続して利用される事例が積み重なれば、JPYCは商品購入時の決済に加え、会費や月額利用料を回収する手段としても活用が進みそうです。


公式発表:Zept PR TIMES

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