
日本人訪問客の支払いを想定した共同検証
SBI XDC Network APACとSBI VCトレードは10月21日、韓国の大手カード会社Shinhan Card(新韓カード)と、ブロックチェーンを活用した決済基盤の構築に向けた基本合意書(MOU)を締結したと発表しました。円建てステーブルコインと実店舗決済の連携を検証し、日韓間のクロスボーダー決済や貿易代金の精算への活用を検討する方針です。
韓国の聯合ニュースによると、協力課題には、円建てステーブルコインをカードに連携させ、日本人訪問客が既存カードと同程度の利便性で支払えるかを確かめる概念実証(PoC)が含まれます。ウォレット間で資金を移すW2W決済も対象としており、利用者の支払い方法と、それを支える資金移動の仕組みを検証する計画です。
安全性の面では、マネーロンダリング対策(AML)や不正取引検知システム(FDS)を通じたリスク管理も点検するとしています。カード決済への接続に当たり、操作のしやすさと、不正な取引を防ぐ運用の両面から事業化の可能性を探ります。
新韓カードの技術検証を日韓の利用場面へ
新韓金融グループ傘下の新韓カードは、約2,000万人の会員基盤を持ち、ステーブルコインと既存の決済サービスを組み合わせる検証を進めてきました。4月9日には、個人間決済やデジタル資産の統合決済基盤、ステーブルコインを使ったカード商品、クロスボーダー送金・精算など、六つの技術課題に関するPoCを完了したと発表しています。この中では、外部ウォレットによる代金・ネットワーク手数料の支払いや、Visaと連携した国際送金・精算も検証しました。
続いて4月30日にはソラナ財団とのMOUを発表し、ソラナのテストネットで顧客と加盟店の決済シナリオを検証する計画を示しました。ネットワークの安定性と顧客の使いやすさを確認し、関連制度の整備に合わせてサービス化を検討するとしています。
こうした経緯を踏まえると、SBI側との協業は、これまで検証してきた決済技術を、円建て資産や日本人訪問客という具体的な利用条件に結び付ける取り組みと位置付けられます。カードとステーブルコインの技術的な接続から、日韓間で実際に利用する際の運用へと検討を進める点に意味があります。
SBI側のQR決済・企業間決済の実証とも接点
SBIグループでは、旅行者向けの別の決済検証も進んでいます。SBIデジトラストは10月1日、韓国のNICE情報通信、ブロックチェーンインフラ企業DSRVと、ステーブルコインによるクロスボーダー送金・決済を共同検証していると発表しました。日本人旅行者が韓国のNICE情報通信の加盟店でQRコード決済を使う場面を想定し、2026年12月末をめどに検証を終える予定です。新韓カードとの協業と併せ、旅行者が店舗で支払う方法について、異なる事業者との検証が進む形です。
企業間取引では、SBI XDC Network APACとSBI R3 Japanが2024年5月、分散型台帳基盤「Corda」と「Corda Bridge」を介し、暗号資産XDCで決済する実証の完了を発表しています。今回の合意に貿易代金の精算が含まれたことは、同社が取り組んできた企業向け決済と、新韓カードの消費者向け決済を、一つの協力枠組みで検討する動きと捉えられます。
利用者の使いやすさと加盟店の精算が焦点
3社は、既存の国際送金の仕組みとデジタル資産基盤の連携方法を検討し、国境をまたぐ決済の効率化を目指します。新韓カード側も日韓双方の訪問客の利便性向上を構想に掲げており、実証を通じて利用者の支払いと金融機関・決済事業者側の処理をどう接続するかが問われます。
事業化を考えると、支払い時の操作に加え、加盟店が代金を受け取るまでの時間や、為替交換を含む費用も重要になります。今後の実証で、既存カードに近い使いやすさを保ちながら、精算の速度や運用負担をどこまで改善できるかが、利用者と加盟店にとっての導入効果を見極める焦点となります。
公式発表:SBIホールディングス

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