
iOS版で提供開始、現物口座から日本円を振り替えて取引
暗号資産取引サービス「Coincheck」を運営するコインチェック株式会社は2026年9月24日、暗号資産の差金決済取引(CFD)サービス「Coincheckレバレッジ」をiOS版アプリで開始したと発表しました。同社は2020年3月に従来のレバレッジ取引を終了しており、約6年半ぶりにこの分野へ戻ります。現物取引で利用されてきたアプリに、価格の下落を見込む売建てが加わることになります。
開始時に扱うのはBTC/JPY、ETH/JPY、XRP/JPYの3通貨ペアです。個人は日本円を証拠金として預け、その最大2倍の金額まで取引できます。成行・指値・逆指値などの注文を利用でき、メンテナンス時を除いて24時間365日取引可能です。まずはiOS版の利用者を対象に段階的に提供を広げ、Android版とWeb版は2026年内、法人向けは2027年以降に対応する予定です。
既存のCoincheck口座を持つ利用者も、取引には専用のレバレッジ口座の開設と適合性確認などが必要です。そのうえで現物口座の日本円を振り替え、アプリ内で取引画面を切り替えます。資金を管理する口座は分かれますが、普段使うアプリから一連の操作を進められる設計です。
競合も最大2倍、Coincheckが加えたのはアプリ内の選択肢
国内ではすでにSBI VCトレードがレバレッジ取引を提供し、bitFlyerも「bitFlyer Crypto CFD」を展開しています。個人向けの倍率は制度上、最大2倍です。Coincheckの参入で国内の取引倍率が変わるわけではなく、同社の既存アプリで現物取引とCFDを行き来できるようになった点に、利用者にとっての変化があります。
ただし、画面上で切り替えられる二つの取引は、仕組みが異なります。現物で購入した暗号資産は保有して外部ウォレットへ送金できますが、CFDは取引開始時と決済時の価格差を精算する方式です。Coincheckレバレッジで対象の暗号資産そのものを受け取ることはありません。売建てなら下落局面でも利益を狙えるものの、予想に反して価格が上がれば損失が生じます。
証拠金の使い方も競合サービスとの違いです。SBI VCトレードでは保有する暗号資産等を証拠金に利用できますが、Coincheckレバレッジでは日本円を専用口座へ振り替えます。保有資産を担保に使うか、日本円を移して取引するかによって、資金の管理方法は変わります。同じ最大2倍のサービスを比較する際にも、倍率以外の条件が重要になります。
2020年の終了後に変わった制度、保有期間で変わる費用
コインチェックが旧サービスを終了したのは2020年3月13日です。その後、暗号資産を対象とするデリバティブ取引は金融商品取引法の規制対象となり、店頭デリバティブ取引を事業として提供するには第一種金融商品取引業の登録が必要になりました。今回のサービスは同社が取得した登録に基づいて提供されます。約6年半ぶりの再参入は、現在の制度のもとでCFDを扱う動きとして位置付けられます。
利用時には、注文時の手数料と建玉を保有する費用を分けて見る必要があります。取引手数料とロスカット手数料は無料ですが、建玉を午前0時までに決済せず翌営業日に持ち越すと、時価評価額の0.04%に相当するレバレッジ手数料が1日ごとに発生します。時価評価額100万円の建玉なら、持ち越し1回につき単純計算で400円です。短期で決済する場合と数日間保有する場合では、負担が変わります。
費用とともに確認したいのが、証拠金を超える損失の可能性です。レバレッジを使うと、同じ価格変動でも証拠金に対する損益の振れ幅が大きくなります。急激な相場変動時にはロスカットが行われても、預けた額を超える損失が生じる場合があります。取引画面へのアクセスが容易になる分、建玉の大きさと保有期間を意識した利用が求められます。
現物取引の利用者に定着するか
今回の再参入によって、Coincheckの現物取引を利用してきた人は、同じアプリから売建ても選べるようになります。もっとも、国内には先行するサービスがあり、倍率も共通しています。既存アプリとのつながりが利用のきっかけになるかは、取引方法の違いや費用を利用者が理解したうえで、どう使い分けるかにかかっています。
今後はAndroid版とWeb版への展開によって、利用できる人が広がる予定です。その先は、主要3通貨ペアという取扱範囲や建玉の持ち越しコストも含め、既存サービスと比較されることになります。約6年半を経て戻ってきたレバレッジ取引が、Coincheckの現物利用者にどの程度定着するかが注目されます。
公式発表:コインチェック

コメント