
年利回り4.40%、SoFi Crypto利用者へ段階提供
米金融サービス企業SoFi Technologiesは2026年10月22日、個人向けトークン化預金「SoFi Earn(SOFIE)」の提供を開始したと発表しました。同社によると、米国の国法銀行が個人向けに発行するトークン化預金として初の取り組みで、SoFi Cryptoの利用者向けに11月にかけて段階的に展開します。
SOFIEは傘下のSoFi Bankの預金債務を表し、1 SOFIEが同行に預けられた1ドルに対応します。複利を含む年利回り(APY)は10月20日時点で4.40%で、随時変更される変動制です。利用者は暗号資産購入に備えた資金から預金利息を得ながら、必要な時に同社のステーブルコイン「SoFiUSD(SOFID)」へ交換し、購入や送金に使えます。
預金とステーブルコインの交換で役割を分担
利用者はSoFi CryptoアカウントからSOFIEの預金口座にアクセスし、資金を使う際にSoFiUSDへ1対1で交換します。交換後はアプリ内での暗号資産購入や、対応する外部ウォレットへの24時間365日の送金に利用でき、資金を保有する間の収益性と、使用時の資金移動を別の商品で担う設計です。
このため、交換の前後で保護の範囲も変わります。SOFIEには米連邦預金保険公社(FDIC)の保険が適用され、預金者1人、銀行1行、口座保有区分ごとに最大25万ドルまで保護されますが、交換後のSoFiUSDは対象外です。保険の上限は同じ区分に属する同行の他の預金と合算して判定されるため、利用者には利回りに加え、既存預金を含む残高と交換後の資金の扱いを確認する必要があります。
機関向け決済から、個人の資金保有へ用途を拡大
銀行預金のトークン化は、法人や金融機関向けの決済用途が先行してきました。JPモルガンも10月19日、機関顧客向け預金トークン「JPM Coin」をイーサリアムに展開したと発表し、2025年11月のBase上での提供に続いて、顧客間で資金を移動できるネットワークを広げています。これに対し、SoFi Earnは個人の暗号資産取引に伴う資金保有を対象としており、預金のトークン化が届く顧客層と用途を広げる取り組みと位置付けられます。
SoFiは2025年11月に個人向け暗号資産取引を開始し、同年12月にSoFiUSDを発行しました。その後、2026年5月にはアプリ内でのSoFiUSDの売買・保有・交換に対応し、9月にはMastercardのネットワークを通じた同行のカード事業で、SoFiUSDによる資金決済を稼働させています。SoFi Earnは、この取引・送金・決済の基盤に預金利息を組み合わせ、資金を使う場面から保有する期間までサービスの範囲を広げるものです。
デジタルドルの収益を巡る競争に銀行機能を投入
狙うのは、すでに暗号資産を利用している顧客の資金です。アンソニー・ノトCEOはReutersの取材に対し、主な機会は、暗号資産に参加しながら資金を必要な時に動かせる状態で収益を得たい利用者にあると説明しました。この発言を踏まえると、SoFi Earnには取引機能の拡充に加え、顧客のドル資金を銀行預金として引き留める狙いがあると考えられます。
発表は、ステーブルコイン保有者への収益還元を巡る制度整備とも重なります。米通貨監督庁(OCC)は10月21日、GENIUS法の実施に向けた最終規則を公表しました。AP通信によると、発行者による直接の利払いが制限される一方、取引所などによる報酬提供は個別に判断されるとされ、銀行業界は預金流出への懸念を示しています。
こうした競争の中で、SoFiは銀行預金として利息と預金保険を提供し、資金移動にはSoFiUSDを用いる構成を選びました。暗号資産関連サービスの競争軸が売買や送金から保有中の収益にも及ぶ中、銀行免許を持つ事業者が預金機能をどう活用するかを示す事例と捉えられます。
提供拡大後は継続利用が焦点
SoFi Earnによる利用者側の変化は、暗号資産の取引機会を待つ資金を、SoFi Cryptoからアクセスできる利息付き預金として管理できる点にあります。購入・送金と預金を同じ利用経路でつなぐことで、取引前の資金管理にも銀行サービスを組み込んでいます。
今後は、11月にかけた提供拡大を通じ、この仕組みが継続的な利用につながるかが焦点になります。変動する利回りに加え、交換・送金の操作性や保護範囲の分かりやすさも利用者の選択を左右すると考えられ、個人向けトークン化預金が定着するうえでの注目点となります。
公式発表:・SoFi

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