
トークン化資産とステーブルコイン、実装段階の違いが表れた1週間
2026年8月23日から29日のWeb3業界では、株式などの金融資産をブロックチェーン上で扱う動きと、ステーブルコインを既存の金融・決済サービスへ組み込む取り組みが相次ぎました。
4件の進捗段階には違いがあります。Coinbaseはトークン化米国株の提供を開始し、コインチェックはUSDCを扱うための事業者登録を完了しました。新韓金融グループとVisaは事業モデルの検証へ進み、SBIホールディングスとStartale Groupは金融特化型ブロックチェーン「Strium」の開発時期を示しています。
実サービス、規制上の基盤、金融機関による事業検証、オンチェーン市場の開発計画という4つの側面から、トークン化資産とステーブルコインの金融実装がどの段階まで進んだのかを振り返ります。

Coinbase、Baseでトークン化米国株を提供開始
Coinbaseが発行する「Coinbase Tokenized Stocks」が米国時間8月24日、Ethereumレイヤー2「Base」上で提供を開始しました。米国外の対象地域に居住する適格ユーザー向けで、Apple、NVIDIA、Alphabet、Metaの米国株をトークンとして自己管理型ウォレットで保有し、対応するオンチェーン市場で24時間365日取引できます。
各トークンはERC-20を拡張した「B20」規格で発行され、現物株と1対1で対応します。裏付けとなる株式は規制下のブローカー兼カストディアンであるAlpacaが保管し、配当や株式分割もオンチェーン上の倍率調整によって反映します。発行後のトークンはウォレット間で移転でき、Base上のDEXやレンディングなどのDeFiサービスで利用することも想定されています。
Coinbaseは米国株への経済的な権利を表すトークンを自社開発のBase上で流通させることで、株式取引とオンチェーン金融を接続します。24時間取引に加え、株式トークンを担保や流動性として活用できる点が、通常の証券サービスとの違いを形成しています。

コインチェック、電子決済手段等取引業に登録
コインチェックは8月27日、資金決済法に基づく電子決済手段等取引業の登録を完了したと発表しました。登録番号は関東財務局長第00002号で、金融庁の登録一覧には取扱対象として米Circleが発行する米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」が記載されています。
国内ではSBI VCトレードが2025年3月に第00001号として登録されて以降、約1年半にわたって唯一の電子決済手段等取引業者となっていました。コインチェックの登録により事業者は2社となり、国内でステーブルコインの流通を担う登録事業者が複数に広がりました。
コインチェックは2024年2月にCircleと提携し、日本市場でUSDCへのアクセスを拡大する方針を示していました。登録完了によって取扱いに必要な規制上の基盤が整いましたが、提供開始時期や対応機能などは今後の案内事項となります。登録事業者が増えたことで、国内ではステーブルコインを扱う事業者ごとのサービス設計も具体化していくことになります。

新韓金融、Visaとステーブルコイン事業を検証
韓国の新韓金融グループは8月24日、Visaグループとデジタル資産やAI決済、企業間決済などの次世代金融分野で戦略的業務協約を締結し、26日に発表しました。両社はVisaのステーブルコイン基盤を活用して発行・送金・償還などの主要機能を検証し、韓国の金融環境に合わせた事業モデルを共同で設計します。
協力範囲にはカード代金の精算やB2B・B2C決済、AIを活用した将来の決済モデルも含まれます。新韓銀行、新韓カード、済州銀行などが持つ金融機能とVisaの国際決済ネットワークを組み合わせ、ステーブルコインを銀行やカードサービスへ組み込む方法を検討します。
新韓カードはVisaとクロスボーダー送金・精算やウォレット間決済などのPoCを進めてきました。今回の協約では銀行を含むグループ各社まで協力対象を広げ、個別の技術検証から、発行・送金・償還、決済を一連の流れとして扱う事業モデルの検討へ移っています。

SBIとStartale、金融特化L1「Strium」を年内テストネットへ
Startale Groupの渡辺創太CEOは8月26日、SBIホールディングスと共同開発する金融特化型レイヤー1ブロックチェーン「Strium」について、2026年内のテストネット公開と2026年度内のメインネット稼働を目指す方針をXで示しました。
Striumは暗号資産やトークン化株式、RWA連動型金融商品などを扱う24時間365日の現物・デリバティブ市場を想定したオンチェーン金融基盤です。2月の正式発表以降、PoCを通じてチェーン構成や決済効率、相互運用性などを検証しており、テストネットからメインネットへ進む目標時期が示されました。
渡辺氏は株式や国債のトークン化に加え、SBIホールディングスとStartaleが共同開発した日本円建てステーブルコイン「JPYSC」による決済にも言及しています。トークン化された金融商品を売買する市場と、円建てデジタル資産による決済を組み合わせ、取引から資金決済までをオンチェーン上で扱う構想です。
4件をつなぐのは発行・取引・決済の一体化
4件を進捗段階で整理すると、Coinbaseはトークン化資産の流通を実サービスとして開始し、コインチェックはステーブルコインを国内で扱うための登録を取得しました。新韓金融とVisaは既存の銀行・カード業務への導入方法を検証し、SBIとStartaleはトークン化資産の市場と円建て決済を支える専用ブロックチェーンを開発しています。
トークン化米国株を扱うCoinbaseと、金融市場そのものを構築するStriumは、資産をオンチェーン上で継続的に取引する仕組みを進めています。コインチェックと新韓金融の取り組みは、ステーブルコインを規制下の取引サービスや既存の決済網へ接続する動きに位置付けられます。
資産をトークンとして発行する段階から、流通市場、法定通貨と連動する決済手段、銀行やカードサービスとの接続へ開発範囲が広がっていることが、2026年8月23日から29日の共通した流れです。4件はサービス開始から将来の開発計画まで成熟度こそ異なりますが、オンチェーン金融を実際の取引と決済へ移す取り組みが複数の地域と事業領域で進んだ1週間となりました。

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